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『閃光のハサウェイ』のベスト視聴環境はLGの有機ELテレビとDENONのサウンドバーDHT-S517(予算20万円以内)

『水星の魔女』が終わったあと、地上波放映された『閃光のハサウェイ』が、また話題になっている。配信が始まった頃に戦闘シーンが暗くて見にくいという声が多かったが、黒が浮きやすい液晶テレビでは見づらく、視聴環境を選ぶ作品である。*1
また、地上波で放映される作品の常で、音声はステレオだが、『閃光のハサウェイ』の魅力の一つとして音響があり、大半の劇場アニメや邦画は5.1chの中、珍しくDolby Atmosで制作されている。*2Dolby Atmosとは、映画の一般的なサラウンドフォーマットの5.1chや7.1chと違い、上方からも音が聴こえる立体音響のフォーマットだ。ただし、大半の上映は5.1chで、Dolby Atmosはそれに対応した映画館だけで上映されたため、誰でも気軽に体験はできなかった。しかし、Blu-rayやUltra HD Blu-rayにはDolby Atmosの音声が収録されているので、家庭で楽しむことができる。*3
そんな感じで、「ピーキー過ぎてお前には無理だよ」と見る側の視聴環境を挑発している『閃光のハサウェイ』なので、なるべく良い環境で視聴したいところだが、ならば、どの程度の予算の環境なら、いい感じに見られるのか?
自分はLGの有機ELテレビOLED55CXPJAとヤマハのAVアンプRX-A4Aとスピーカー6台の環境で見ており*4、かなり良いレベルで映像と音響を楽しめている。しかし、テレビはともかく、音響面でここまでの投資は誰にでも勧められる訳でない。
そこで、なるべく予算を抑えながらも、満足できる環境を考えたが、LGの有機ELテレビOLED55CXPJAとDENONサウンドバーDHT-S517を推奨したい。テレビは現在セール中なので、ほぼ17万円という構成である。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 【Blu-ray通常版】

有機ELテレビなら、そこらの映画館よりも、良い画質で見られる

10万円台前半でセールされるLGの型落ち有機ELテレビ

見づらいという評判の夜間戦闘シーンも、照明を暗くした部屋の有機ELテレビで見れば、暗部がしっかり見える。*5BDを購入したあと、特典目的で109シネマズ二子玉川で見たことがあったのだが、小さいスクリーンだからか、映写機の性能が低いようで、映像のコントラスト比が低く、かなり眠い画面で、家のテレビの方が綺麗に見えるという体験をしてしまって以来、有機ELテレビへの信頼度はストップ高だ。*6
Twitterでも、『閃光のハサウェイ』を有機ELテレビで見て感動している人を多数確認できる。
閃光のハサウェイ 有機EL - Twitter検索 / Twitter
有機ELテレビは予算があるのなら、画質の評価が高いPanasonic、ゲームに強いREGZAソニーなどから好きなメーカーの製品を選べばいいが、予算を抑えたいのなら、AmazonでセールされているLGの型落ち有機ELテレビ一択である。LGの有機ELテレビは毎年、前年度モデルが10万円台前半にまで安くなるのが恒例で、今は2021年モデルがその対象となっている。ただ、2022年モデルはあまり価格が下がっていないところを見ると、世界的な価格高騰もあり、以前と同じようにセール対象になるとは限らないので注意したい。10万円台前半で買えるのは2021年モデルが最後かも。

55型のOLED55B1PJAが一押し

LGの有機ELテレビは、画面サイズのあとにつく型番でA、B、C、Gと各種シリーズがある。気をつけたいのが、Aシリーズのみ倍速パネルでないため、PS5やXbox Series Xで話題になる120Hz表示はできず、パネルの輝度も低くなっている。少しでも価格を抑えたい、どうせPS5やXboxで120Hzプレイができるタイトルはかなり少数なので、気にしないと割り切れる人向けだ。要はAシリーズはジムで、B以降はガンダムである。
65型はまだまだ高く、48型と55型もあまり価格が変わらないどころか、下手すると55型の方が安い時があるぐらいで、1月20日現在、119,800円とセール中の55型のOLED55B1PJAが一押しだ。小さめのサイズが欲しい人は48型のOLED48C1PJBを勧める。
LGの有機ELテレビの難点としては、番組表の表示が遅いことと、録画機能でなぜか数秒遅れて録画が開始されるため、頭が切れてしまうこと。テレビでの録画機能を重視する人は、REGZAなど録画に強い機種に変えるか、別途録画専用機を用意しよう。

有機ELテレビって焼き付くんでしょ?

ネットでは、しばしば有機ELテレビの焼付きが話題になるが、これは古いパネルを使っている製品での話。2018年以降の製品に採用されているパネルは焼付き対策がされている。利用頻度が高くて劣化が早い赤色サブピクセルの面積が拡大されたパネルが2018年以降の製品には搭載されている。
【西川善司の大画面☆マニア】新世代有機EL REGZA「65X920」は明るく美しい。地デジの安定感+4K(試験)放送体験-AV Watch

購入時に気を付けたいこと

有機ELテレビの一番の問題点は「パネルが非常に薄くて壊れやすいため、引っ越し業者は、別料金になったり、取り扱ってくれない」だろう。引っ越しの予定がある人は、引越し後に購入することを勧める。
これだけ高額商品だと、少しでも安い店を選びたくなるが、大型家電の購入は大規模なショップでした方がいい。Amazonなら、110円という激安価格で設置してくれるサービスがあり、絶対つけるべき。安い店はこの設置ができなかったり、できても費用が高かったり、配送料が高かったりするので、一見安く見えるだけの危険もある。
Amazonの長期保証はクロネコヤマトなので、店がつぶれるとなくなってしまう店独自の長期保証より安心できる。有機ELテレビでは、パネルは自然故障が多いという情報を見かけたこともあり、自分は長期保証に入った。
グレアパネルで、明るいところでは顔が映り込みやすいため、使う部屋の照明は明るさがコントロールできるものにしたい。外の明かりを遮断するための遮光カーテンもぜひとも導入したい。遮光カーテンというと、暗い色のものばかりというイメージがあるが、ニトリの遮光カーテンは明るい色のものでもしっかり遮光してくれる。

押井守監督も驚く暗階調表現

有機ELテレビは、コントラスト比が高いため、くっきりした画面のアニメと相性がいいのだが、映画もYouTubeもゲームも素晴らしい画質で体験できる。2018年に押井守監督が有機ELテレビで4Kの『GHOST IN THE SHELL』を見て、優れた暗部階調に驚いていたが、2018年当時VIERA TH-55FZ1000が約50万円と大変高価だった。50万円以上の予算が必要だったのが、3年経ったら、メーカーは違うがなんと10万円台前半で買えてしまうのだ。*7
デジナタ連載「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」押井守インタビュー - コミックナタリー 特集・インタビュー
映像を見る機会が多い人は有機ELテレビの導入をぜひ検討して欲しい。

DENONサウンドバーDHT-S517でDolby Atmosを堪能する

Dolby Atmosで部屋が空襲されたダバオ市街になる

Dolby Atmosの効果は、ダバオ市街の空襲シーンが一番わかりやすい。頭上を不気味な音のペーネロペーが飛んだり、モビルスーツのビームやバルカンが頭の上で飛び交ったり、モビルスーツが落ちてきて、逃げ惑うダバオ市民の気分になれる。敵にミサイルやバルカンで総攻撃されるガウマンの気分もよくわかる。
自分が気に入っているのは冒頭のハイジャックパートで、ギギが「やっちゃいなよ、そんな偽物なんか」と言うシーンだ。ここで、脳内で聞こえるクェスの声は上の方から、ギギの声は周囲全体から聴こえて、目の前にいる本物のギギの声はしっかり真ん前から聞こえてくるのだ。ニュータイプとして、クェスやギギの心の声がハサウェイの脳内に響いたあと、目の前にいる本物のギギの声が前から聴こえてきて、現実に引き戻されるというのを音響で演出しているという、素晴らしいサウンドデザインなのだ。
以前、浅草にあるシアタースプラウトというDolby Atmos対応のレンタルシアターで、人を集めて、いろいろな映画を見る集まりをしたのだが、この声の聞こえる方向に注意してもらって、ハイジャックパートを見てもらうと、皆が「おお!」と驚いていた。Dolby Atmos対応のレンタルシアターは非常に少ないのだが、シアタースプラウトは非常に良い音響の設備なので、興味のある方はぜひとも使って欲しい。
レンタルシアター 東京 TheaterSPROUT 台東区浅草・上野エリア

音響は予算をかければかけるほど良くなる沼である

有機ELテレビは、画質の差はあるものの、一般的な目で見たら、その差は小さいため、一番安いLGのテレビで充分と言えるのだが、映像に比べると、音響は予算をかけただけ、誰が聴いても違いがわかるほど、良くなる。
テレビの環境で、音をよくするのなら、サウンドバーか、AVアンプとなるが、予算を抑えるとなると、サウンドバーになるだろう。売れ筋は3万円を切る価格帯の製品で、DHT-S217などがヒット商品だが、この価格帯は「テレビのスピーカーの音がよくなくて気になるから、それをちょっと改善したい」という目的ならともかく、「映画で迫力の音響を楽しみたい」という目的では、ちょっと厳しい。

音に包み込まれる体験を提供してくれるDHT-S517

現在の自分の環境では、緻密で情報量の多さと迫力を兼ね備えた厚みのある音、音の包まれ感がしっかりあるが、そんな環境を日頃体験している自分でも、実売5万円ほどのDHT-S517は他の低価格サウンドバーと比べて、段違いに迫力を感じた。これを聴いたあとだと、評価が高いDHT-S217はテレビの音がちょっとよくなったな、ぐらいの印象になってしまった。
DHT-S517はサブウーファーが別に用意されていることもあり、低音が充分出てくれる。また天井に音を反射させるイネーブルドスピーカーを内蔵していて、Dolby Atmosの上方向の音声が聴こえるので、音に包み込まれる感じが非常に高い。迫力の低音と音に包み込まれる感じという、映画館的な音響で求められる条件をクリアしてくれる。

DTSに非対応なので、映画のBDを多く所有している人は注意

DHT-S517で気になるのはDTSフォーマットに非対応という点で、BDをよく見る人は注意して欲しい。クリストファー・ノーラン作品に代表されるように、まだまだDTSフォーマットの作品が多いからだ。また『君の名は。』や『天気の子』といった新しめのアニメ映画ではDTSが多いので注意。映像配信サービスで使われるフォーマットは、Dolby Digital+とDolby Atmosのみだから問題ない。サウンドバーでは、この機種に限らず、コストを削るためか、DTSに非対応の製品は増えているので気をつけて欲しい。

後ろからの音が欲しいのなら、リアスピーカーがあるリアルサラウンドで

DHT-S517では、自分より前半分に音の空間が広がるのだが、リアスピーカーはないため、後ろに音の空間がない。これを解決するため、サウンドバーでは、バーチャルサラウンド機能が売りにされていることが多いが、この手のバーチャルサラウンド機能に期待してはいけない。後ろからの音が欲しいのなら、リアルサラウンド環境に行くしかない。
サウンドバーなら、フルワイヤレスモデルのサラウンドスピーカーのHT-A7000/5000やJBL BAR 1000を勧める。HT-A7000とサラウンドスピーカーのSA-RS5を揃えると20万円を超えてしまうが、HT-A5000とSA-RS5なら約17万円、JBL BAR 1000は約13万円と少し安い。2021年に登場して話題になったHT-A9はワイヤレスといっても、電源コードがあるので、バッテリー内蔵のフルワイヤレスモデルに比べたら、サラウンドスピーカーの使い勝手が悪い。

AVアンプなら、フロントスピーカーとリアスピーカー、イネーブルドスピーカーという構成でDolby Atomosが楽しめる。センタースピーカーは一人で見るのならなくても問題ない。トールボーイのスピーカーならかなり低音が出るので、サブウーファーも必須でない。最安値構成は、AVアンプ(SONY STR-DH790) / トールボーイスピーカー(SS-CS3) / ブックシェルフスピーカー(SS-CS5) / イネーブルドスピーカー(SS-CSE)だが、Amazonではスピーカーの在庫がなかったので、ヨドバシカメラでやってみると、ポイント還元込みで10万円とお手頃価格であった。

ただ、SONYのAVアンプのSTR-DH790は2018年と古いモデルなので、可能ならば、AVアンプは最新モデルを買うのを勧める。スピーカーは後からアップグレードしやすいが、AVアンプは最初からある程度の製品を買った方がいいのと、AVアンプは多機能なので、最新モデルの方ができることが多いからだ。エントリーモデルだと、DENON AVR-X1700Hと、型落ちで安くなっているmarantz NR1711が良い。
今回、『閃光のハサウェイ』を引き合いに紹介をしたが、LGの有機ELテレビとDHT-S517があれば、映画、ライブ映像、ゲームと、何でも非常に綺麗な映像と迫力ある音響で楽しめる。よく映画を見る人や、ゲームで遊ぶ人は、この視聴環境の導入をぜひとも検討して欲しい。

*1:『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』の暗くてよく見えない戦闘シーンについて演出かリアリティか様々な感想が集まる - Togetter

*2:公開当時、アニメでDolby Atmos採用は日本初というニュースがあったが、『BLAME! 』が日本初である。「BLAME! 」制作陣が、HDRやAtmosで目指した表現。CG+最新技術でアニメはどう変わる? - AV Watch

*3:配信だと、プライムビデオはステレオで、Netflixは5.1ch。何より配信サービスの音質は、パッケージソフトと比べると、かなり悪いのだが、テレビ版と比べるとまだ良かった。5.1chのnetflixがお勧め

*4:4.1.2chというもので、フロントはB&W 706S2でリアはFOCAL Aria 906、イネーブルドスピーカーはPolk Audui MXT90、サブウーファーFOSTEX CW200A

*5:暗い画面は、明るい部屋だと、見づらいので、部屋を暗くして見ることを勧める

*6:最近は映画館に行っては、有機ELテレビよりも映像のコントラスト比が低い、音響が微妙だと、海原雄山のような人間になっている

*7:記事にあるレコーダーのDMR-UBX7050が約20万円。UHD BDプレイヤーだったらDP-UB32が約3.5万円であるが、今なら約2万円でPanasonicやLGのUHD BDプレイヤーが買える