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『〈学級〉の歴史学―自明視された空間を疑う』

<学級>の歴史学 (講談社選書メチエ)

<学級>の歴史学 (講談社選書メチエ)

朝日の書評で興味を持っていたので購入。まだ読みかけなんだけど面白いので、興味を持った人にはお勧め。同じ年齢の人間を一カ所にまとめて教える「学級」というものがどうして発生したかをひもとく書籍。「学級」は「パッケージツアー」と似ている部分が多いが、どちらもイギリスの産業革命で生まれた貧民を救済するキリスト教の慈善活動から生まれたそうだ。もともと学級制度はフォードの組み立てラインやファストフードと同じように効率化を求めて生まれたものであり、イギリスでの成立過程を解説、そして、機能集団であった「学級」が、明治時代に日本に入った段階で生活共同体的性格を強く持ち、現在の問題に繋がっているかを解き明かしていく。
教育論というと、教育を高尚なもの、神聖なものという前提で語られるけど、サービス産業と同じような視点で教育を眺めている点がかなりユニーク。イギリスでの「学級」の成立に関して、日本語の資料はないらしいので、類似書はないといってもいいみたい。学者の人らしい論文文体で慣れない身には読みづらいんだけど、専門用語が羅列されたり、抽象的な話ではないので理解はしやすい。
http://d.hatena.ne.jp/june_t/20050320/p1
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