都築響一氏のことを検索していた時に2010年のインタビューを見つけたのだが、企画会議に関する話が面白かった。インタビュアーは速水健朗さん。
都築響一氏が参加していた『ポパイ』や『ブルータス』では、企画会議がなく、ライターが直接編集長やデスクのところに企画を持ち込み、ページや予算をとっていたという。
【都築響一氏インタビュー】本当におもしろい企画を生み出すために |ソフトバンク ビジネス+IT
――ふつうの雑誌では、まず企画会議を通ってから取材に行って、それから記事になりますよね。
築氏■だけど、プレゼンっていうのは人を説得しないといけないわけじゃないですか。そのためには説得のための材料が必要になる。たとえば、いまニューヨークでこれが流行っていますよという記事がやりたいとするよ。でも、説得材料があるってことは、もう誰かが企画して雑誌などですでに形になっているということじゃない。それってもう二番煎じなんですよ。おもしろそうだけど、行ってみないとわからないから取材に行くわけでね。つまり、企画と会議なんて宿命的に合わないものなんですよ。だから、企画会議って根本的におかしい。
都築氏■結局、企画会議っていうのは、リスクの分散のためにやるんですよ。誰も責任を取らなくてもいいシステムなんです。僕が昔、企画を編集長のところに持っていったときに「売れるかどうかはわかりません」って言って、すごく怒られたことがあるんです。「金になるかどうかを考えるのは俺なんだ、お前は考えるな」って。
逆にね、自分の企画で雑誌が売れたこともあったかもしれないですけど、それは編集長のお手柄なんです。本来、売れなかった責任も売れた手柄も編集長のものなんですよ。おもしろいものをつくり出す人間は、余計なことを考えるなという環境を与えられていた。
僕はものを作り出すプロセスはこうあるべきだと思います。そうしないと、すでにあるものの二番煎じを作ろうという結論になって、おもしろいものは生まれなくなってしまいますよ。
最近の記事だが、ちょっと通じるものがあったので。会議をすると「考えるために考えた」アイデアがどんどん入っていって、結果的につまらなくなるのだろう。
「ほぼ日」は売れ筋を”考えない” | トレンド | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
楠木:商品開発前にお客さんの反応を聞くのは、よくあることですか?
糸井:よくあります。でも、こういう商品を作ってほしいとか、この商品をこう改良してほしいというご意見は、なるべく聞かないようにしています(笑)。
楠木:それは面白い。しかし、ロングラン商品ともなると、実際に買ったお客さんの要望が、自然と集まってくると思います。
糸井:もちろん、お客さんのご意見は聞きますが、モニターとして意識しすぎると、「あぶはち取らず」になってしまう。だから、意識しすぎないようにしています。アンケートも当てにしすぎるといけません。どうしても「考えるために考えた」アイデアが入りますから。
楠木:会議もそうですよね。
糸井:「何か言ってごらん」と促されて言うことと、本当に感じていることとは、別なんです。見極めが難しいけれど、本当に感じていることでないと意味がない。