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「萌え」を「萌え〜」と発音した人たち

シロクマの屑籠(汎適所属) - 弛緩した「萌え〜」からは、萌えオタ達の複雑で必死な心情が伝わってこない
http://d.hatena.ne.jp/p_shirokuma/20060504/1146665850

書いた人の思いが強く伝わってくるいい文章だ。

少なくとも1995年〜2000年ぐらいまでは、むさくるしい男オタク同士の会話のなかで「萌え」が表明される時、俺達はもっと緊張してたはずだ。

そうか、今は緊張がないんだ。みんな緩みきった顔で「萌え〜」と口にする。*1


さて、「萌え〜」と発音していた人は誰だろうと考えた。
そもそも「萌え」が使われていたのは、パソコン通信やインターネットなどのテキストコミュニケーションの場においてであって、それを実際の会話で使っていた記憶があまりない。「萌え」を代表として、そういったテキストコミュニケーションの中でしか流通しない言葉がある。波動用語はそういった言葉だった。
発音されるようになったのは『エヴァンゲリオン』ぐらいからではないだろうか。それでもまだこの頃はシロクマさんがいうような複雑さがあった。
その複雑さを削ぎ落としたのは何だったのか。自分の場合、2000年頃のCG紹介番組『D'sGARAGE』での桃井はる子氏を思い浮かべる。彼女は、番組内で「これは萌え〜ですね」と連呼していた。シロクマさんが言うように、男性がいう「萌え」には複雑な意図が入っており、アングラ感漂うものだったのだが、桃井はる子氏はそれを「かわいい」のような感じで使っていた。今考えると、男性が作り出したアンダーグラウンドなものを、女性がオーバーグラウンドに引っ張り出そうとしたという構図に見える。もちろん桃井氏自身は単に自分のキャラ作りのために使っていたと考えるのが自然だが。
2ちゃんねる用語が会話で発音されていったように、テキストコミュニケーションのみの言葉が会話に流れていくのは自然なものとなっていったが、発音されることによって意味が変わっていくというのは面白い。

*1:あの発音って『ドラえもん』のジャイアンリサイタルソロの時の「ボエ〜」を思い出す…