ARTIFACT@はてブロ

最近はオーディオブログです

2ちゃんねるでのパクリやパロディにオリジナルへのリスペクトはあるか?

のまネコ問題は前から触れようと触れようと思っていたものの、展開が早くて、書くタイミングを失っていた。とりあえず、あまり指摘されてないと思った話題をピックアップ。
さやわかさんがわかりやすいことを書いていたので引用。
http://d.hatena.ne.jp/kyoumoe/20051007#c

# neatsorg 『>人格攻撃ってのはこの言葉に対してです

いや、だから自分とは関係ないことを書くべきじゃないでしょう。結果として人格攻撃じゃない発言を無視しつつ、「ここは人格攻撃しかない」と言って書き捨てるような形になるんですよ。まあ、そもそも俺は人格攻撃だから何が悪いのか分からないけど。

>「使っても良い」とか「誰に断って使ってんだ」とかって言った者負け

そうですね。そして、それを言いたがっているのはむしろ両方とも2ちゃんねるの人たちですよね。avexは「使ってもいい」とすら本当は言っていないですし。「そういう意味じゃないのか!」と言われて「そんなつもりじゃないです」と答えただけじゃないですか?

>何の理由だか「のまねこはモナーとは*完全に別物*である」という1文だけどうしても外さない
のまネコ」と「モナー」を分離しておかないと、それこそ「モナー」の権利を取得しようとしてるかのように思われると困るからじゃないですか?自分たちが商売に使いたいのはあくまで「のまネコ」であって「モナー」じゃないという線引きだとは思えませんでしょうか。もし思えないとしても、「モナー」として大々的に売り出された方がずっとavexモナーに対して持つやっかいな影響力は大きくなるとは思いませんか?また、「モナーからインスパイヤされた」という言葉には自分たちの楽曲を無断使用したフラッシュにかける言葉にしては十分すぎるほどのリスペクトが感じられると思います。』

# neatsorg 『俺もえらい威勢のいい発言があったので誠実な気持ちで書き込んでみたけど、返事がないから「何なんだよこいつ」と思ったよ。

>そこで人々が婉曲的に「そもそも何の言いぐさだ」と解釈したこと自体が間違っている、と?

そうじゃないですかねー。「婉曲的に」の意味が全然よく分からないけど。「モナーの利用に対して権利を主張することは一切ありません」というセリフを引き出したのだって、2ちゃんねるの人じゃないですか。

>1文を、のまネコグッズを販売してる場所の注意書きにでもちゃんと掲載

何様のおつもりでしょうか?「そこにモナーって書いとけや」と言う権利は少なくとも2ちゃんねるの人にはないんです。「のまネコ」も「モナー」も2ちゃんねるのものではないですから。また、日頃2ちゃんねるの人がモノをパクるたびにリスペクトだかを発揮してオリジナルを尊重した行為を行っているわけでもないですから、それを他人に強要できると思う方がおかしいでしょう?

>まるで元があることを知られたくない、広まったらまずいような印象を受けました。

いちいち由緒が書いてないと猜疑心が芽生えるのですか。それは自分でも言い過ぎではないですか?せいぜい「無視されてるみたいでムカつく」となぜ言えないんですか?それに、世の中には何かにインスパイアされて作られたものはごまんとありますが、いちいち由緒が書いてあるモノなんてないですよ。いや私なんかはさー、たまに2ちゃんねるの人が「モナーあめぞう発祥」と言われたらすごい勢いで「昔のことはどうでもいいッ!!」とか言いだすんですけどあっちのほうが「広まったらまずい」って感じに見えます。あははは

>まだこれだけ納得していない人が存在する

どのレベルで「納得」したいんですか?感情レベルでゴネてるだけじゃないですか。それに、いやーひろゆきが「落としどころを決めよう」とか言ったのは扇動家として実に的確だよなあ。衆愚をうまくコントロールしようとしてるよ。

>となると、Avexが「自分たちの楽曲にした」のはいつなのか。

「いつ」とかは問題じゃないんです。avexは権利を持ったから自由に使っていいんです。当たり前じゃないですか。「のまネコ」だって本来はそうです。感情をベースにしてるくせに、いつの間にか自分たちの正義を信じ、法律を持ち出そうとするから、当たり前のことに文句を言うような変な事態になったり、お前等が正義を騙るなと突っ込まれるんですよ。
まあ俺は、感情的な敗北があるのかしらないけど、それと引き替えに楽曲を無断使用してフラッシュを作る前例を作らせてもらえたのに、何をでしゃばってるんだろうと思うよ。許されてることに対する甘えがあるというか。』

この後も議論は続いている。今回は無記名ではなく、はてなID持ちの人相手にやっているのが珍しい。相手はこの記事を書いた人。
ChaboのFF11日記+ - そろそろのまネコ問題の落としどころを
http://d.hatena.ne.jp/Chaborin/20051006/1128568912
重要なのは、「また、日頃2ちゃんねるの人がモノをパクるたびにリスペクトだかを発揮してオリジナルを尊重した行為を行っているわけでもないですから、それを他人に強要できると思う方がおかしいでしょう?」である。
自分の場合、テキストがよく2ちゃんねるに転載されるのだが、きちんとリンクが張ってあって転載されているのは印象として1/3ぐらいだ。下手をすれば、この前のあび子コラムのように改変もされている。転載行為自体は別に文句はないのだが、オリジナルがどこかぐらいは示して欲しい。ネットにある文章なら検索で見つかるからという考えもあるだろうが、改変されたらわからないし。
自分は他人の発想や著作物などを利用する場合、元を提示するという立場を取るが、そういう元が何かわからないぐらいぐちゃぐちゃのサンプリング文化を別に否定はしない。ただ、こういったオリジナルをも不明にするサンプリング文化なら、同じ手法を取られても、不思議はないだろう。
とはいえ、もともとavexの取った手法は、2ちゃんねるでよく見られるようなオリジナルを不明にしようという意志があったのだろうか? これに関しては感情的な面で決められている感もある。
たとえば、『電車男』は2ちゃんねるに対するリスペクトがあるが、「のまネコ」にはないといわれる。『電車男』は書籍においては、2ちゃんねるが発祥と明示されているが、映画、ドラマと書籍を元にした展開においては、2ちゃんねるの文字は出てこない。あくまで2ちゃんねるを元にしたとわかる、ネットの掲示板やアスキーアートなどによって、2ちゃんねるであろうと推測できるだけだ。
のまネコ」の場合、あくまで推測だがavexはこのFlashの存在を企業が認めること自体が2ちゃんねるの文化へのリスペクトであると、考えたのではないか?
avix批判派の最後の拠り所としては、「2ちゃんねる著作権侵害行為をしている人たちは金儲けしてないけど企業は金儲けをしている」なんだけど、これも実際に行為をしている人たちは金儲けをしてないものの、それを成果に人を集めて、金儲けに利用している運営側の存在がある。そこにうまく踊らされてないか?と指摘している人も多いのだが、その辺に対する反応はあまり見かけない。
以下、似た話題に言及している人の意見を引用。
NaokiTakahashiの日記 - 模倣にリスペクトは必要か?
http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20051004#p2

# Dryad 『あと、私のエントリでも書いたことなのですが、「2ch文化へのリスペクト」と言った場合に、2ch自身がパクり元に対してどれだけリスペクトを払ってきたのか、という問題はあると思います。少なくとも、はてな某所で2ちゃんねらを釣っている方々は、リスペクトを受けていないと感じているのではないかと。』
# NaokiTakahashi 『2chは、そういうリスペクト、過去の文脈を必要としない、作者の存在にさえ縛られないコラージュ文化の最先端を言ってる空間だと思ってたんですが、そこがこういうことを言い出したというのはちょっと意外でしたね。』

NaokiTakahashiの日記
http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20051005#c1128716788

法を外した話をしますが、アンフェアだというなら、今まで散々2ch発でもないモナーの権利を無視してコピペ・改造を楽しみ、楽曲の無断使用でFLASHを楽しみ、知財がどれほどのものかとやってきた2chらーが、突然権利の主張を始めたというのが、一番アンフェアでしょう。錯覚してる人がいそうですが、「ネットコミュニティの所有物」は、「公共物」ではありません。「ネットコミュニティ」の「私物」です。モナーを私物化しようとしているのは2ch側なのです。
俺は2chにサンプリング文化の最先端、原作者という枠に制約されない新しい表現の可能性を見ていたのですが、幻想だったようですね。彼らは他人の権利を侵すのに無頓着なだけで、権利のあり方そのものにラディカルなわけじゃない。オレンジレンジがよそをパクリで訴えたようなもんで、自分のことは棚にあげて何言ってんだ、って感じですよ。まさしくオマエモナーっていうか、オマエガナーって感じですよ。』

高橋直樹さんのコメントを途中から引用させていただいた。
24-Hour Survival - 2ch帰属意識
http://d.hatena.ne.jp/Dryad/20051008#p1

問題は、2chコミュニティ側にそれを主張する資格がどれだけあるのか、という点にある。id:Dryad:20051003#p1の「モナーは『誰のもの』か?」でも述べたが、2ch文化とは、2ch外の著作物を徹底的にパクり、それらをミックスしたものを表現することで成立してきた文化である。即ち、その良し悪しは別として、本来、「帰属」や「リスペクト」といったものと最も縁の薄い立ち位置にあると考えられる。しかし、実際にはどうだったか。

あと、面白いのがAA職人たちと反対運動している人たちの温度差だ。
論客歓迎】AA長編板 総合議論スレッド その弐拾弐【のまネコ
http://aa5.2ch.net/test/read.cgi/aastory/1128424204/4-11

のまネコが独自キャラと言えるのか?

1・ぬいぐるみについて
 【ttp://www.geocities.jp/nomaneko_mona/avex5.jpg】
 このキャラは完全に独立キャラだと思われる。
 これが固有のキャラではないとなると、モララーは独立キャラではないことになるし
 モナーも元のキャラをパクって生まれているわけで独立キャラではないことになる。
 何かを元にしていても、個別のキャラは個別のキャラ。
 AAは自由なのであるからして、企業がそのAAを元に別のキャラを作るのも自由。
 名前も当然変わって然り。さらにモナーを元にしたと公言している故なんの問題もない。
 ちなみに既に一部のAA長編にのまネコとして独自キャラで登場しておる。

とりあえず一部のみ引用させてもらったが、ぜひ全文を読んで欲しい。冷静な意見が出されており、自分もほとんど賛同する。しかし、こういった見解は「2ちゃんねらーの意見」としては、ちっとも広まらない。下手をすれば「工作員扱い」だ。まさに「2ちゃんねるの一部の人」扱いされてしまう。
はてなダイアリー - 地球儀の螺旋 - 「のまネコ」騒動はネット右翼運動の変形? について
http://d.hatena.ne.jp/tragedy/20050914/p1

この騒動は最初から著作権の話なんかではなく、感情の話である。単純な話なのだ。「俺が大好きな○○を蹂躙するな!」という話なのだ。モナーに対しては何の思い入れもないが、同じような体験をしてきた人の怒りの話なのだ。2ちゃんねるという幻想の共同体に強い帰属意識を持った人々の抵抗運動ではない。そこから始まった話ではあるけれど、私のように帰属意識を全く持っていない人まで「avexふざけんな!」と言っているのは、もっと普遍的な話だからである。

こういう意見を見ると、素朴に「2ちゃんねるって人の大好きな○○を散々蹂躙してきたんじゃないんですか?」と思ってしまう。2ちゃんねるは数の力で、相手の声をつぶしてきただけなんじゃないの?と。
散々リスペクトがあるとは思えないパクリをしてきたのに、他人がやると怒るというダブルスタンダードに対して、皆突っ込んでいる。
avexは企業として恐る恐るネットコミュニティに配慮していた。もちろん、その配慮が行き届いたものだったかどうかは別問題としてあるのだが、そういった配慮を一切気にせずに、反発するのは、グレーゾーンにあったネット上の著作権問題を、版権元が締め付ける方向に行きかねない。
のまネコ」騒動にエイベックスが公式見解発表――インスパイアされたオリジナル?: 深水英一郎 : Hotwired
http://hotwired.goo.ne.jp/nwt/050921/comment_9.html
MUZOというFlash関連の団体が、avex側の担当者に対して、ネットコミュニティに配慮をしてほしいという要望をしたら、担当者が感情的な反応を示したという報告もある。ただ、この文章、担当者が何に対して、感情的な反応を示したのかという辺りがよくわからないので、鵜呑みにするのは危険だとは思う。