ARTIFACT@はてブロ

最近はオーディオブログです

背伸びアイテム話続き

「背伸びアイテム」が好きというのをバカにしていると思って読んでいる人が多そうな気がしてきたので、最初に補足。
例えば、先に挙げたもの(http://d.hatena.ne.jp/kanose/20050319#senobi)の中で『時計仕掛けのオレンジ』なんか自分も好きなんですが、そのように他人の評価がどうあっても、好きなものは好きだよね、という前提で文章を書いていますので、その辺を留意してくださると嬉しいです。「メジャーな作品を鑑賞している人たちを笑う」「そんな背伸びをしている人たちを笑う」「背伸びをしている人たちを笑っている人たちを笑う」というメタゲームをやる気はありません。
それと、最初の文章(http://d.hatena.ne.jp/kanose/20050318#stretchingitem)は『ファウスト』が20代以上向けと捉えている言説をよく見かけたので、それって違うのにと思ったのが発端です。その時に「背伸びアイテム」というのをキーワードにしてみたと。で、その「背伸びアイテム」に注目した人たちがいて、これは背伸びなんじゃないの?という話になって、面白かったのでメモとして残しました。
http://d.hatena.ne.jp/antipop/20050319#1111229900
背伸びアイテムのラインナップが変わってないという話ですが、ハイカルチャー方面は歴史がものをいうので、そうそうラインナップは変わらないかと。サブカル方面に寄ればラインナップは変わっていきますが。
http://d.hatena.ne.jp/megyumi/20050320#p5

そもそもそういう「背伸び」を覚えない内からネットで情報を得てて、「この作品は背伸びアイテム」と決めつけて最初から見向きもせず、「世間」的に評価されてる作品ばかり相手にするようになるとしたら……。

  • 背伸びをしてない内は普通にメジャーな作品(これが世間的に評価されている?)を鑑賞する
  • その段階でマイナーな作品に対して「これは背伸びアイテム」という意見を見ると、ああこれは背伸びなんだと思って、マイナー作品は見ないでメジャーな作品を鑑賞し続ける

というのが心配でしょうか?
もともと「背伸び」というのはしている内は気付かないものなのでは…と思いつつ、最初の注意書きで書いたように、他人の評価で自分の趣味が変わってしまうような人というのは、本来そこにいくべき人たちではないと考えています。マイナー作品の売上が、そういう本来いかなくてもよかった人たちでも支えられているという面はありますけど、そういう人たちを減らすのはよろしくないということでしょうか?

ネットによって知的成熟度に差がついていく

さて、それとは別に、ここでいわれるようなネットでの情報による価値観形成に関してちょうど興味深い事例が。ネット上の評論によって自分の意見が左右されるという実体験を中二のchurchillさんが語っています。
http://d.hatena.ne.jp/churchill/20050320#p2
お笑いに関する遍歴なのですが、テレビタレント時代、アイドル視時代、批評家時代(アンチアイドル時代)、サブカル時代という様々な流れを1年で経験したそうです。この批評家時代は、ネット上の評論を読んで、その受け売りするようになったそうで。そして、そのネットでの評価が高いというのに嫌気が差したのがサブカル時代。その変遷はなんとわずか1年!
これを読んで思ったのは、誰でも情報を得られるというネットという場があったからこそ生まれたスピードだなあということ。従来だったら、こういう変化はもっとゆるやかに行われていた訳で、僕が中二の頃にこんな風に自分を振り返ることなんてできませんでしたよ(笑)。
知的好奇心の高い子供たちはネットでどんどん情報を収集していくけど、そうでない子供はそのまま。その辺の差というのが今後すごく出てくるのだろうと思った事例でした。
このネットによる学習の高速化は、梅田望夫氏のブログで取り上げられていた「高速道路」ですね。
CNET Japan Blog - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001909.html
この時は仕事での話だったけど、もっと全般的にいえるんだなあと。
ここでも言われたように、一定のところまでは学習効率が良い人ならばすぐ到達できる訳で、その後の自分というか自己を形成するための努力が問題になってくるんでしょう。
※反応メモ
http://d.hatena.ne.jp/uboshi/20050321#p2
最初に書いた文章でも「学習効率が良い人」という限定はつけているように、誰でもすぐ一定のレベルに到達できる訳ではないとは考えてました。
政治に関して確かに外的要因が強そう。政治関係での背伸びアイテムといえば、『戦争論』の頃の小林よしのり氏(現在だと違うけど)の漫画かなと思いました。教科書や朝日新聞といった良識的存在が教えてくれなかった知識がそこに!みたいな。今は、その辺りをネットのまとめサイトが担ってるのかなあ。