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ユリイカ2月号「ソーシャルネットワークの現在」で記事を書きました

1月27日に発売されるユリイカ2月号の特集「ソーシャルネットワークの現在」で「ガラパゴスな日本のネット界に開国を迫る黒船ソーシャルサービスの歴史」と「ソーシャルネットワーク・キーワード集」を書きました。
ソーシャルネットワークの現在」というタイトルですが、タイトルは映画『ソーシャルネットワーク』公開合わせということで、実際には最近話題のソーシャルメディアについての特集です。執筆者は多彩な顔ぶれで、読むのが楽しみ。
ソーシャルネットワーク・キーワード集」は、最近話題のソーシャルメディアについて、重要なキーワードを解説してます。どうしても、技術的な話題になるのですが、技術系メディアではないですし、誌面の都合もあるので、説明を端折っている部分があります。詳しい人からすると突っ込まれるかも知れませんが、全体的な理解になるよう心がけたつもりです。
ガラパゴスな日本のネット界に開国を迫る黒船ソーシャルサービスの歴史」は、ブログから始まる日本にきたアメリカのウェブ技術やサービスの歴史を振り返るものです。
締めとして、大向一輝さん(id:i2k)が2003年に書かれた名エントリーから「昼のブログ、夜のブログ」の話を引用させていただきました。アメリカは「昼」という自分の本業を世界に広げるものだったため、ブログが社会革命だ何だと盛りあがったが、日本のネットは「夜」という本業から帰ってきて書くものだったために温度差があったという分析です。これは現在のネットシーンでも通じる秀逸な分析ですので、引用させていただきました。
semblog-dev : 1IMC感想文[↑B]

まずはWeblogという概念が輸入されてきたときに起こった典型的な反応と同じものがここにはある.「それってWeb日記と何が違うの?」この議論はいまも続いていて終わることがない,というかすっかり酒の肴(消費の対象)になってしまった.個人的には日本におけるWeb日記と日本におけるWeblogは区分不可能だと思っている.Moblogも同じことで,写真が入るかも知れないけれどもやっぱりWeb日記との質的な差は見いだせない.ではこんなに盛り上がるのはなぜか.言い切っていいのかどうかは知らないが,日本以外でのWeblogの位置づけが何か違うからなのだろう.いま彼の地で代表的といわれるなWeblogは専門家が自分の専門について毎日書き記すような類のもの.レッシグとか.過日のWWW2003の論文では「Personal Knowledge Publishing」という大枠の中にWeblogを位置づけるものがあったが,まさにそういう感じなのだろう.ならばWeblogがジャーナリズムの革命だ!と叫ばれたのも納得できなくはない.そう,Weblogは自分の本業,昼の仕事を世界に開くための手段だったのだ.これを「昼のWeblog」と呼ぶことにする.翻って日本では,インターネットは夜の領域に属するものではなかっただろうか.本業から帰ってきてその日にあったことを認める,そうするとそのコンテンツは本業も趣味も生活も渾然一体のものになる.それが日記であって,Weblogが輸入されてきてもやることは同じ,Moblogでも同じ(認める時間は変わるかも).これを「夜のWeblog」と呼ぶ(夜の日記でもいいけど).一方,彼の地の人々においてはMoblog(というか携帯電話)によって自分の生活が記述される可能性が出てきた.昼のWeblogにはない部分,夜のWeblogがMoblogによって達成され,しかもそれが読んでみたら楽しくて,革命!という筋書きなのではなかろうか.でないとこのピンとこなさが理解できない...ネット初期において個人ページが存在しなかった彼の地では,(昼の)Weblogによる革命,Moblogによる(夜の)革命と革命ばっかり起こって楽しそうだが,こっちとしてはおもしろくも何ともない.だからいきなり元祖を名乗られたりビジネスチャンス扱いされると気にくわないということになる.

ソーシャルネットワークの現在 - 「ユリイカ」「現代思想」の雑誌発行、人文諸科学の専門書の出版社「青土社」[↑B]

特集*ソーシャルネットワークの現在
Facebook、twitter、ニコニコ動画、pixiv、Ustream・・・デジタルネイティブのひらく世界

【対談】
ソーシャルネットワークの可能性 シェアは何を変えるのか / 小林弘人×濱野智史

ソーシャルネットワーク最前線!】
ニコニコ動画のコアにあるもの / 夏野剛 [聞き手=さやわか]
新しい社会、新しい教養 『思想地図β』 が目指すもの / 東浩紀 [聞き手=編集部]
絵を描く、つながる、そしてその先へ
 “表現” のプラットフォームとしてのpixiv / 片桐孝憲 [聞き手=伊藤剛]

ソーシャルネットワーク in ガラパゴス
ガラパゴスな日本のネット界に開国を迫る黒船ソーシャルサービスの歴史 / 加野瀬未友
残念なニッポンのインターフェース / 速水健朗

【#The Social Network】
第n次カリフォルニア南北戦争 / 池田純
ネットワーク下の 「記憶」 の物語 ソーシャルネットワークとD・フィンチャー / 渡邊大輔

【ソーシャルネットと 「本」】
誰が 「本」 を殺そうとかまうものか Who cares Who kills “Book”? / 矢野
健二
編集は死ぬ/蘇る 俺が、俺たちが、ソーシャルだ! / 米光一成

【編み直される 「社会」】
情報と想像力の狭間に生きる 「私」 たち その 「情報化」 はガバナンスを変革するか? / 西田
亮介
リーク願望を吸い上げる装置 ウィキリークスとリーク社会 / 塚越健司
地球村戦争と平和 / 門林岳史

【ソーシャルネットが導く文化】
私は遠くの何かに対して公開されている / 河野聡子
期待はずれなゲームとわたし / 中田健太郎
ソーシャル・ゲームをめぐる交わらない欲望 / 井上明人
「現場」 の 「現在」 / さやわか
ランキングとレイティング / ビルボードとピッチフォークに見るポップの美学のゆくえ 今井晋

【資料】
ソーシャルネットワーク・キーワード集 / 加野瀬未友