ARTIFACT@はてブロ

最近はオーディオブログです

個と個として繋がりたいのではなく、「みんな」になりたい世界

シナトラ千代子 - 「みんなになりたい」大手小町の仕組みはネットになにをもたらすのだろう
http://d.hatena.ne.jp/wetfootdog/20060214/p1
大手小町は「マスの常識」を共有したいという願望をかなえるための装置として動いているのではないか。「自分の意見が言いたい」というより「みんなと同じ意見が言いたい」場所が求められているのではないか。

いわゆるネット右翼なども主義や思想が影響して……ではなくて、そういう「みんなになりたい」ひとたちに見えることがよくある(とくにコテハンでもない匿名の場合)。とすると、彼らに必要なのは「みんなになる仕組み」であって、ブログとかmixiとかの「個を主張する」「個と個が結びつく」といったものではないということになる。

みんなになる」ためには匿名であってもかまわないし、むしろそのほうがいい。つまり自分たちと異なる発言などはほとんどどうでもいいのだから、議論する気は毛頭ない。同じ意見の集会に参加することが大事なのであって、議論することが大事なのではない。その場のみんなが同じような意見なんだなという認識こそが重要。

これは、大手小町だけではなく、ネット全体に見受けられるのではないだろうか。たとえば、2ちゃんねるのスレでは、最初にいろいろ意見が出るものの、最終的にどちらかのサイドに決めたがる。作品のスレなどで顕著だが、良い作品か悪い作品かそのスレ内での意見が決定されたら、その逆の意見や感想は排除される。
ただ、大手小町だと、編集が入っているので、より意図的になっているのかもしれない。大手小町は投稿して、2〜3日のタイムラグがあるという指摘がコメントなどであった。また、集まっている層として主婦が多いために、そのようになるのではないかという指摘も。

日記の・・・ようなもの - mixiのワルクチじゃないよ
http://d.hatena.ne.jp/yukodokidoki/20060215#p1

「主婦」という分け方は乱暴ではあるが、ある種のネットの事件の特徴の背後に主婦を感じることは多い。たとえば、かざきり羽事件。また、JOY事件は2ちゃんねるの既婚女子板が発祥だし、主婦が絡んだネットの騒動は結構多い。
ARTIFACT@ハテナ系 - 「かざきり羽」で検索

キャズムを超えろ! - みんなになりたくないひとたちの意見に同意することで"みんなになりたくないみんな"になりたい!? 人への警鐘
http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20060214/p1

シナ千代さんの記事への反応で面白かったもの。

はてなブックマーク - シナトラ千代子 - 「みんなになりたい」大手小町の仕組みはネットになにをもたらすのだろう
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/wetfootdog/20060214/p1
2006年02月14日 nisemono_san 『[神聖未満喜劇][祝祭空間]浅羽通明『天使の王国』に「発言したい欲望」という、新聞投稿欄を分析しながらその裏側の心理を分析した文章があった。それとこの分析は似ている気がする。発言小町を読売新聞がやっているというのも示唆的。』

ああ、やっと「発言したい欲望」に触れる人が! 浅羽通明氏の「発言したい欲望」は今こそ検討されるべき!と2002年の段階から書いているんけど、誰も賛同してくれなくて寂しいので再度強調。

ARTIFACT ―人工事実― : WEBLOG
http://artifact-jp.com/mt/archives/200211/weblog200211.html
 で、このWEBLOG自体ですが、日本には既に個人ニュースとかそういう動きがあったじゃーん、なんて指摘は他の人にお任せ。自分が前から気になっていたのは、普通の人がマスコミで流されるニュースにコメントするという行為の普及です。実はこれって10年前に浅羽通明氏が湾岸戦争での新聞投書をもとに丁寧に分析しているんですよ。『天使の王国』という本の中の「新聞投書に見る『発言したい欲望』」なんですが、詳しくは月下工房内の書評を読んでください。

この1年後はまだブログサービスが普及してなかったのでわからなかったと書いていたんだけど、その後、時事関係のブログが増えて、自分の直感は正しかった!と思った。
時事関係への言及が多いブログは、自分の中では新聞投書ブログである。R30極東ブログは新聞投書ブログではなく、浅羽通明氏が言うところの文化人の発言の立場だろう。意見のテンプレートを提供してくれる場所。そして、そういったテンプレート提供ブログを読んで、「俺はマスコミでは触れられてない言説を知っており、社会を知っているんだ!」と思うのは、ビジネスマンの中二病アルファブロガー自体がビジネスマンの中二病なんだろうけど。
ARTIFACTを読むのは、サブカル中二病*1ということで! なお、自分自身は小二病を大二病で隠していると自己判断。
※参考
ARTIFACT@ハテナ系 - ネット上での立ち振る舞いを「小二病中二病高二病・大二病」に分類してみる遊び
http://d.hatena.ne.jp/kanose/20050412/netbehaving
天使の王国―「おたく」の倫理のために
天使の王国―平成の精神史的起源 (幻冬舎文庫)
オリジナルも文庫版もAmazonだとないなあ。ユーズドはある。

*1:サブカル自体が中二病をビジネスにしているという秀逸な指摘2ちゃんねる中二病スレで見かけたことがある