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『熱風2012年10月号 電子版』の配布がもうすぐ終了するのでダウンロードすべし

スタジオジブリ - STUDIO GHIBLI - ジブリの小冊子『熱風2012年10月号 電子版』インターネット配信のお知らせ[↑B]
『熱風2012年10月号 電子版』の配布の終了時期である11月9日18時が近付いてきたので書いてみる。
この特集は電子書籍の特集で、cakesで書いた記事でも取り上げたけど、メルマガに関する座談会が非常に面白い。
メルマガビジネスの現在、未来|加野瀬未友|ケイクスカルチャー|cakes(ケイクス)[↑B]
出席者は、堀江氏のメルマガの編集を担当している杉原光徳氏、津田大介氏、ドワンゴ川上量生氏、夜間飛行の井之上達矢氏。
電子書籍というと、作者と読者が繋がる!という話になりやすいが、この座談会では編集という行為の重要性に注目している。堀江氏のメルマガが、いかに杉原氏という編集者の手によってできているかが話されている。まだ、夜間飛行の井之上達矢氏も、元出版社ということもあり、編集の力によってコンテンツの魅力が上げることに力を入れているそうだ。また、ドワンゴの川上氏はこの座談会に限らず、コンテンツの有料化によるメリットをよく語っている。
なお、この特集は特集:本格化する電子出版 - BLOGOS(ブロゴス)[↑B]としてBLOGOSにも転載されている。
【特集 本格化する電子出版】座談会 いま電子出版に 必要なものはなにか【前編】 (1/2)(スタジオジブリ) - BLOGOS(ブロゴス)[↑B]
【特集 本格化する電子出版】座談会 いま電子出版に 必要なものはなにか【後編】 (1/2)(スタジオジブリ) - BLOGOS(ブロゴス)[↑B]


また特集とは別に大塚英志氏の連載「二階の住人とその時代 転形期のサブカルチャー私史」は初めて読んだのだが、80年代初頭の徳間書店アニメージュ編集部を中心としたシーンを描いており、オタク史的に非常に面白い読み物となっている。

津田 多分その構造って、ニコ生のプレミアム会員に近いと思うんですよ。あれを始めたら「回線が止まる」っていう文句が減ったじゃないですか。プレミアム会員ができたことによって「いや、金払ってプレミアムになれば止まらないよ」と一般ユーザーに呼びかける流れができた。
川上 なるほど。よくツイッターとかで、全然他人で知らない人なのに、勝手に話しかけてきて「返事がない」って怒りだす人がいますよね。
津田 そういう質問が普段から堀江さんとか僕にはいっぱい来るわけですが、メルマガは質問に対して「お金を払えば答えますよ」という権利が与えられた訳ですね。実はここにこそネットの本質が隠されていて、それを見せてくれたのが堀江さんのメルマガでもあったと思うんです。
川上 そうですね。ネットで有料のところって注目されていますけど、でも、実はお金をとることによって争いが起きなくなるということがあるんですね。

有名人には質問が多くくるが、質問する人たちに対して、お金を払えば答えますよ、という形で権利を与えたのがメルマガのQ&Aであると津田氏は語っている。ただ、これは言い換えれば「コミュニケーションへの課金」な訳で、それを全面に押し出すと反感を持たれるのではないかと思い、こんな発言をした。

今のところ、この発言に対しての反発は見たことがないので杞憂ではある。なお、このTweetでは川上氏と言っていたが、勘違いで津田氏だった。

津田 みんな堀江メルマガを読んでいるような気になって。だからツイッターのタイムラインを「世間だ」って言った人がいて、僕、なるほどそうだなと思ったんですね。世間をつくれるサービスというのがツイッターなんだと。でもそれはカッコ書きの「世間」であって、本当の世間とはずれているのだけれど、なんとなくいろんな人がフォローしていると、これが世間だと思うようになる。堀江メルマガとってないと遅れちゃう。クラスのみんながファミコン買っているのにうちだけ買ってもらえてないみたいなね。実際は5人ぐらいしか買ってないんだけど(笑)。そんな疑似的な効果をもたらしてるんでしょうね。

Twitterのタイムラインは自分でフォローする相手を決めたのに、なぜか「世間」と勘違いしてしまう。

津田 で、番組を見たときに「あっ、おもしろい」「この瞬間おもしろかった」「この情報はいいな」というふうに思ったものがきちんと文字に起こされて構成されたものって、すごい力になるんですよね。でも動画の番組って2時間だったら全部見ると当たり前だけど2時間かかるわけですよ。だけど例えばこれ『熱風』のこの座談会は2時間やっていますが、構成されてこの原稿になれば、多分15分で読めるわけですよね。「この時間圧縮率ってすごい価値を生むんじゃないか」と前から思っていたんです。かつ、僕は番組やイベントに出て様々なジャンルの人と対談してるわけですが「今日はおもしろかったな」みたいなのがよくある。でもそれが毎回フローなものとして消えてしまっているのがもったいないなと思ってて。それを音声や動画でそのまま公開するのではなく、きちんと文字コンテンツとして読みやすくすれば価値を生むのだろうと。インプットのストックは僕の場合たくさんあるから大丈夫、これだったらなんとか自分でも定期的に発行できると思ったのが、あのメルマガをやろうと思ったきっかけなんです。

2時間のトークは全部見たら2時間かかるが、文字起こしされれば15分で読める。このような時間圧縮率は価値を生み出す。

津田 あとは、出版社の人がヒットというと10万部を超えるとか、20万部を超えるっていう、その数字に引っ張られ過ぎちゃっているから、1万といってもピンとこないんだと思います。それが1年続けば×12だということを単純に分かってないんだと思うんですよ。
川上 なるほどね。
津田 × 12だから、つまり12万。メルマガは読者の継続率が意外に高いので、1万読者がいたら、まあ大体10万部の本を売ったのと同じくらいのインパクトがある。利益率で考えたら、多分一般書籍でいうところの30〜40万部ぐらいのものができる。そしてそれが継続的な収入になるというのが分かってない。

これは、パッケージビジネスをやってきたゲームの人が、月額課金のオンラインゲームを理解できないというのに近いのだろうか。ただ、出版社も書籍だけではなく、雑誌は作っている訳で、「1万部の雑誌」というのは、全国にぎりぎりばらまける程度の数字だから、それに魅力を感じないというのもわかる。

川上 そうすると「津田さん」っていうのもね、なんか『ファミ通』が『ファミコン通信』という言葉の意味を失ったように「津田」というのもいつかただの記号と化して(笑)、ただのブランド名になっていくぐらいの感じの発展とかを、僕はしていくのではないかなと思っているんですよ。
津田 実はそれはすごい象徴的な話で、僕、8月に入院していたんだけど、入院前にほかの仕事とかが重なって、まったく日記以外の原稿を書けてない号が1号だけあるんです。リテラシー高い人は「津田、この号不在だよね」っていうことを分かるんですけど、ツイッターに流れてくる読者の反応とか見ていると、別にいつもと変わらず普通に消費してるんですよね。

「津田さん」が名前ではなく、ブランドとなっていくという予測。

川上 だから、やっぱりネットのコンテンツの有料化っていうのの1個のポイントというのは、人間はお金を払ったほうが真剣にそのコンテンツ読むんですよ。だからコンテンツをちゃんと見てもらおうと思うんだったら、絶対お金を取ったほうがいいんですね。それは、利益のためじゃなくて。
津田 でも、それはさっきのニコ動がプレミアムをやったことともすごくリンクしている話ですね。

コンテンツをきちんと見てもらいたいのなら、お金を取った方がいいという話。

津田 メルマガを出すようになっていろいろな編集者から、「津田マガは量が多すぎる、適正な量は、今の半分ぐらいじゃないか」って言われたんです。実際ツイッターの反応見てても「多すぎて読めない」という感想はたくさん来る。でも、僕は、それは不満じゃなくて、「うれしい悲鳴」だと思っているんですよね。要するに、本当の不満ではないと。
川上 それはちょっと思っていて、量が多すぎて読めないことのメリットというのは、量が適正ということは全部読んじゃうということですよ。全部読んじゃうというのはどういうことかというと「これは良かった悪かった」ということを自信を持って言えてしまうと(笑)。
杉原 悪い言い方をすると騙すことができない。
津田 その発想はなかった! なるほど! いやー、僕にとってそれはすごい気づきです。やっぱり川上さんは天才ですね(笑)。
川上 全部読んでないものは、それが価値あるかないかを言う資格は(購読者に)ないんです。否定できないから。

全部読めるものは自信を持って価値判断ができてしまう。全部読めなければ、それができない。

川上 ネットの事件というのは、みんな炎上を恐れるんで、訴訟する人がまず現れにくいですよ。だから、訴訟リスクはないと思うんです。どっちかというと、さっきから出ている、出版社のガードについての理解がないユーザーが問題ですよね。一般のネットユーザーって、レコード会社も出版社も搾取だけして、アーティストをいじめている存在だと思っている。
津田 そうそう、悪者にしたいんですよね。
川上 悪の枢軸と思っているじゃないですか。
津田 テレビ局なんて最たるもんですね。
川上 そうですね。で、そういうふうに思っていた人たちの中からニコニコ動画とかで作品を発表し始めてクリエイター側になった人たちが現れ始めているわけですよ。そして、ユーザー側の人たちと、クリエイターになったユーザーとの間での溝ができてきた(笑)。
津田 でも、その溝を広げたのは、他ならぬ川上さんがやってるニコ動やニコ生なんじゃないですか。
杉原 すごい加担していると思いますよ、ニコ生は。
川上 いやいや、溝は広げてないですよ。もともと溝はあったんだけれども、その溝を渡ってきたユーザーがたくさん現れ始めたっていうのにニコ動が加担しているというなら、その通りです。
津田 確かに。
川上 でも、別にニコ動以前に、もうコミケとかでも同じ構造ありましたから。だから、ユーザーもクリエイターになり始めた時代にユーザーがクリエイターの周辺で編集、出版社的な役割の存在を否定する方向に行くんじゃないかっていうところを、僕はすごい心配しているんです。

CGMから出てきた人がレコード会社や出版社と協力するようになると、そこを敵だと思っているユーザーと距離が出るという話。
ブログを書いている人が、書籍を出すと、皆一様に「編集者の人に大変助けられた」と語っているから、ブログ界隈は理解が進みそうなものなんだけど、あまりされてない印象がある。

井之上 それについてはかなり恐れています。実は僕、なるべくなら夜間飛行がどんな思想を持っていて、何をやっているのかについて、本当は語りたくないんです。夜間飛行のやろうとしていることは、ある種のネット文化を愛している人からすると、一番鬱陶しいことだと思うんです。
川上 そうですよね。
井之上 いくら批判されてもおかしくない。「せっかく著者と読者だけの直接的な関係を結べていたのに、出版社の搾取構造をまたネットに持ち込みやがって」みたいな話ですね。
川上 だから、そのこと自体をユーザーにもっと理解してもらって、編集者の役割というのがもっと認知されていくような世界にならないと、またすごいいらない炎上がありますね。

編集者の役割をもっとユーザーに理解してもらいたいという話。

津田 まあでも僕が自分のメルマガの感想をひたすらRTし続けるのも相当インテリジェンスに欠ける行為ですから(笑)。一応僕の中ではルールは決めていて、自分が発したツイートに対する賛否はRTしないんですよ。でも書籍とかメルマガとか、自分がつくったものに対しての感想は「いいものも悪いものもRTする」というふうにルールを決めている。微妙な差ですけど、そこは堀江さんと違うんですね。
杉原 そうですね。「堀江さん、かっこいい」ってあったら「そうか」ってすぐRTしそうですから(笑)。
津田 でも、見ている側からしたら、そんな違いは分からないでしょうね。

このルールには気付かなかった。