オープニング。炎上地域にPKO派遣されたブロガー柘植は、ネットイナゴの襲来を受ける。
隊員「距離、ひとふたまるまるクリック、嫌味陰口多数。ほのめかし言及らしき伏字反応。トラバの射程に入ります」
http://twitter.com/kusamisusa/statuses/444765582
柘植「ゴングより本部。当該勢力の脅威、更に増大中。言及の許可を要請する」
本部「言及は許可できない。現在、はてブ隊がそちらへ急行中。繰り返す。言及は許可できない。全力でスルーせよ」
柘植「スルー不能。本部聞こえるか」
http://twitter.com/kusamisusa/statuses/444763992
ブログレイバー隊隊長の後藤に接近してきた男、荒川は言う。
荒川「後藤さん。ブクマカーとして、ダイアラーとして、俺達が守ろうとしているものってのは何なんだろうな。前の炎上から半世紀。俺もあんたも生まれてこの方、炎上なんてものは経験せずに生きてきた。馴れ合い。俺達が守るべき馴れ合い。だがこのブロゴスフィアのこの村の馴れ合いとは一体何だ?」
http://twitter.com/kusamisusa/statuses/442665412
荒川「かつてのReadMe総力戦とテキストサイトの敗北、SixApartの占領政策、ついこの間まで続いていたはてブ抑止による冷戦とその代理炎上。そして今も世界の大半で繰り返されている揉め事、炎上。そういった無数の炎上によって合成され支えられてきた、血塗れのアクセス的繁栄。それが俺達の馴れ合いの中身だ。炎上への恐怖に基づくなりふり構わぬ馴れ合い。正当な代価を余所のブログの炎上で支払い、その事から目を逸らし続ける不正義の馴れ合い」
後藤「そんなきな臭い馴れ合いでも、それを守るのが俺達の仕事さ。不正義の馴れ合いだろうと、正義の炎上より余程ましだ」
警視庁警備部緊急会議。
後藤「戦線から遠退くと梅田望夫の楽観主義が現実に取って代る。そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。炎上している時は特にそうだ」
幹部「何の話だ。少なくともまだ炎上など始まってはおらん」
後藤「始まってますよとっくに! 気付くのが遅過ぎた。柘植がこの国へ帰って来る前、いやその遥か以前から炎上は始まっていたんだ」
後藤「突然ですがあなた方には愛想が尽き果てました。自分も南雲警部と行動を共に致します」
幹部「後藤君。君はもう少し利口な男だと思っていたがな。二人とも連れて行け」
連絡員「たった今DanKogaiからのトラックバックにより、はてブ人気エントリーが」
後藤「だから! 遅過ぎたと言ってるんだ!」(犬の顔)
後藤「そりゃまあ不平や不満はあるでしょうけど、今はてなで揉め事を起こさなきゃならんような理由が例え一部であれダイアラーの心の中にあると思いますか。しかもこれだけの行動を起こしておきながら炎上元への粘着もトラックバックもなし。そんな揉め事があるもんですか。
政治的要求が出ないのは、そんなものが元々存在しないからだ。人気エントリーを同一ネタで埋めつくし混乱させる。それが手段ではなく、目的だったんですよ。これは揉め事を偽装したテロに過ぎない。それもある種の思想を実現するための確信犯の犯行だ。炎上状況を作り出すこと。いや、はてなを舞台に炎上という時間を演出すること。犯人の狙いはこの一点にある。犯人を探し出して謝罪エントリーをアップさせる以外に、この状況を終わらせる方法はない」
荒川「今回の事態はその当初からJ-CASTの厳重な監視下にあったのさ。1時間程前にメッセンジャー経由で通告があった。明朝7時以降状況が打開の方向に向かわなければ、J-CASTが直接介入する。現在お抱え記者が全力で執筆中。各地のJ-CASTウォッチャーもはてブ準備に入った」
後藤「荒川さん。あんたの話面白かったよ。欺瞞に満ちた馴れ合いと真実としての炎上。だがあんたの言う通りはてな村の馴れ合いが偽物だとするなら、奴が作り出した炎上もまた偽物に過ぎない。この街はね、リアルな揉め事には狭すぎる」
ラスト、南雲に逮捕される柘植。
柘植「ここからだと、あのへんな会社がWeb2.0の様に見える。そう思わないか」
南雲「例え幻であろうと、あのブログサービスではそれを現実として生きる人々がいる。それともあなたにはそのブロガー達も幻に見えるの」
http://twitter.com/kusamisusa/statuses/444772792
柘植「3年前、はてダに戻ってから俺もその幻の中で生きてきた。そしてそれが幻であることを知らせようとしたが、結局コメント欄が炎上するまで誰も気付きはしなかった。いや、もしかしたら今も」
http://twitter.com/kusamisusa/statuses/444773652
松井「先程連絡が入ったが、複数アカウントを使っていたお前の部下達は全員運営にアカウント停止されたそうだ。更新停止・閉鎖ブログ不明。被害はてなスターはどれ位になるか見当もつかん」
松井「一つ教えてくれんか。これだけの事件を起こしながら、何故閉鎖しなかった?」
柘植「もう少し、見ていたかったのかもしれんな」
松井「見たいって、何を」
柘植「このはてなの、2.0を」
※追記
「ブログレイパー」と誤読する人多過ぎ!