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セールで約3000円のハイレゾ対応ワイヤレスヘッドホンUGREEN HiTune Max5cレビュー / SoundPeats Space Pro、EDIFIER W820NB Plus Gen2と比較してみた


先日、UGREEN HiTune Max5cというワイヤレスイヤホンが約3000円と安く売っていたので買ってみたところ、なかなか良かった。これまであまりチェックしなかったワイヤレスヘッドホンが気になるようになり、量販店で各社のフラッグシップモデルを試聴したり、直近で出た1万円以下のワイヤレスヘッドホンを2台購入したが、なかなかの出来で驚かされたので、記事を書いた。
※価格はAmazonのセール中を前提にしている

UGREEN HiTune Max5c ワイヤレスヘッドホン入門として最適

もともと6000円ぐらいで売られていたものがなぜか半額という大バーゲンプライスに。LDAC対応でノイズキャンセルを搭載したワイヤレスオーディオ機器が3000円というのは、価格下落が激しいワイヤレスイヤホンでも見かけない。

音質

1万円のヘッドホンなみの音質という評を見かけたが、今どきの1万円のヘッドホンの進化は激しい。これは「数年前の1万円のワイヤレスヘッドホン」というべきだろう。一聴して悪い音とは思わなかったが、下記の最新ヘッドホンと比べると、ナローレンジ感があるのは歪めない。ただ、それも3000円という価格を考えたら贅沢というものだ。
デフォルトのイコライザーが低音強調のため、低音がすごく出てくる。アプリを入れてイコライザー変更は必須である。自分は高音と低音を強調するエレクトリックが気に入った。
※アプリのダウンロード先
UGREEN App Download JP | UGREEN US

ノイズキャンセル性能

3000円という価格から考えれば優秀。扇風機やエアコンの音はほぼ消せる。電車の車内音は音楽を流せば気にならない程度。カフェなどで人間の声は通る(そもそも、ほとんどのノイキャンはこのぐらい)。風切り音に弱い。外音取り込みは人の声は聞き取りやすいが、環境音は少し人工的だった。

収納性

スイーベルはもちろん、折り畳みもできるので、コンパクトになる。

USBオーディオ機能

USBケーブルで繋げば、有線ヘッドホンとしても使える。AUX入力はない。

操作性

ボタンは右側に集中している。
左右はハウジング中側に大きく表示されていてわかりやすい。

ビルドクオリティが高い

下記に紹介した2製品は、かなりプラスチック感が強いのだが、HiTune Max5cは質感が良い。何も知らない人に3台の中で外観だけでどれが一番高価なヘッドホンか選んでもらったら、HiTune Max5cを選ぶ人が多いと思う。SONY WH-1000Xシリーズの外観に似ているのは御愛嬌。

難点

  • 毎回ANCボタンを押さないとノイキャンONのモードにならない(電源オフの時のモードを覚えていない)
  • LDACとマルチポイントは併用できず排他
  • デフォルトのイコライザーが低音強調で、アプリをいれないと変更できない
  • イコライザーの変更のため、UGREEN HOMEというアプリが必須だが、Androidでは野良アプリとして配布されている
  • イコライザーは多いがフラットはなく、カスタムはできない
  • シアターモードから戻すとイコライザーがデフォルトの低音強調に戻ってしまう
  • USBオーディオ機能使用時、イコライザーは使えず、デフォルトのみ
  • ノイズキャンセルと外音取り込みの間に必ずノーマルモードが挟まってしまう。アプリでも設定を変更できない
  • 最大音量が小さい

SoundPeats Space Pro 1万円以下でトップクラスの音質


フォローしている人たちの間で音質評価がよかったので購入。40mm+10mm同軸デュアルドライバーというドライバーの構成はEarFun TUNE PROと同じで、ベースは同じ製品だと思われる。ただ、TUNE PROはLDAC非対応であり、仕様がまったく同じというわけではない



音質

デュアルドライバーのおかげで、音に厚みを感じる。低音が強めで、映像を見るのにも向いている。
困るのが、ノイズキャンセルONとOFFで低音の出方が違うこと。ONだと低音がばんばん出るので、イコライザーで少し弱くしている。

ノイズキャンセル性能

扇風機やエアコンの音はほぼ消せる。電車の車内音は音楽を流せば気にならない程度。UGREEN HiTune Max5cよりノイキャン性能は高いと感じるが、めちゃくちゃ差があるというほどではない。HiTune Max5cが価格の割にノイキャン性能が高いのだ。
外音取り込みは、人の声がちょっと不自然になり、他のレビュアーの中でも評価が低かった。

長時間の動作が可能

LDAC接続のノイキャンONだと、動作時間が減るので、正確なところはわからないが、AAC接続で58時間なので、7割の40時間ぐらいはいけるのではないか。

収納性

スイーベルはもちろん、折り畳みもできるので、コンパクトになる。

操作性

右側に電源ボタンと音量ボタン、左側にANCボタンがあり、わかりやすい。
左右はハウジング中側に大きく表示されていてわかりやすい。
ヘッドバンド内側に技適表記あり。

USBオーディオ機能だけでなく、AUX入力あり

今回紹介した製品の中で、唯一AUX入力がある

難点

  • LDACとマルチポイントは併用できず排他
  • ノイズキャンセルと外音取り込みの間に必ずノーマルモードが挟まってしまう。設定で変更できない
  • プラスチック感が強くて安っぽい外観
  • 最大音量が小さい

EDIFIER W820NB Plus Gen2 機能面で満点。AAC非対応というのが残念過ぎる

EDIFIERのワイヤレスヘッドホンは種類が多くてわかりにくい。試聴できるのもイベントぐらいしかない。この製品は8月に出たばかりで、前のW820NB Plusの欠点がいろいろ解決していたので購入してみた。

音質

EDIFIERのワイヤレスヘッドホンは割とフラットな音という評が多いのだが、低音が強い上記の製品と比べると、確かにフラット寄りであった。低音強調にしても、そこまで強い低音は出ない。といっても、ヘッドホンなので、それなりの低音が出る。SoundPeats Space Proは音の厚みがあるのだが、女性ボーカルや高音の伸びはW820NB Plusの方が良い。

LDAC接続でもマルチポイント、空間オーディオが使える

フラッグシップモデルのEDIFIER WH950NB Gen2のレビューで、LDACでマルチポイント接続ができると知ったが、普及価格帯のこの製品でも同じ仕様になっていて驚いた。音質を選ぶか、利便性を選ぶのかに悩まされないのは嬉しい。TWSでLDACのマルチポイント接続対応は最近でこそ増えたが、ワイヤレスヘッドホンだとWH-1000XM6 / XM5とJBL Tour One M3ぐらいだ。
自分は使わないので重視していないが、LDAC接続時に空間オーディオが使えるのもポイントが高い。

ノイズキャンセルと外音取り込みのトグルにできる

安価な製品で多いのがモードにノーマルモード(ノイキャンも外音取り込みもないモード)が挟まれること。上記の製品もそこが難点だった。ところがEDIFIER製品はアプリで、ノーマルモードをいれない設定にできる! EDIFIER NeoDotsもそうだったが、この気配りは嬉しいので、他社も見習って欲しい。

ノイズキャンセル性能

SoundPeats Space Proと同等ぐらい。外音取り込みはSpace Proよりかなり自然だった。

長時間の動作が可能

ノイキャンONで49時間なので、LDAC接続時でも30時間以上は保つと思われる。軽さを考えると、SoundPeats Space Proの方が保ちそう。

収納性

スイーベルはもちろん、折り畳みもできるので、コンパクトになる。300gに近い製品が多い中、242gと軽め。

操作性

右側に電源ボタンと音量ボタン、Bluettohボタン兼ANCボタンが集中している。
左右表記はヘッドバンド内側にある。技適表記もこちらに。

難点

  • なぜかAAC接続に非対応
  • プラスチック感が強くて安っぽい外観

結局どれがいいの? / こんな人にお勧め

UGREEN HiTune Max5cは3000円という価格からは考えられない出来であるが、もともとの価格帯ではそれなりの製品だ。1万円以下のワイヤレスヘッドホンの進化は速いので、予算があるのなら最新機種を買った方が良い。
音質評価はイコライザーで自分の好みの設定に調整して比較している。音質ではSoundPeats Space Proがベスト……という訳でもない。EDIFIER W820NB Plus Gen2は音の傾向が違うからだ。迫力を求めるのならSpace Proで、静かな曲をよく聴きたいのなら、W820NB Plus Gen2がお勧めである。

UGREEN HiTune Max5c

とにかく安いのがいい人。音質より外観重視

SoundPeats Space Pro

AAC接続が必要なiPhoneユーザーや低音好きな人。重くても動作時間の長さが欲しい人

EDIFIER W820NB Plus Gen2

AAC接続がないので、iPhoneユーザーには勧められないが、Androidユーザーで低音を重視しない人。軽い装着感を求める人。

実売1万円以下のワイヤレスヘッドホンは種類が多過ぎて選ぶのが大変

2024年以降に発売された実売1万円以下のノイキャン付きLDAC対応ワイヤレスヘッドホンで、それなりに知名度があるメーカーの製品はこれだけあった。
QCY H3 Pro
Creative Zen Hybrid 2
EarFun WAVE Pro
Edifier W830NB
Creative Zen Hybrid (Gen2)
グリーンハウス GH-HPBC
EarFun Tune Pro
AVIOT WA-Q1
AG-WHP01K MK2
1MORE SonoFlow Pro HQ51
Anker Soundcore Q30i
OneOdio Focus A6
SOUNDPEATS Space Pro
Moondrop 羽翼 - Edge
HAYLOU S40
2023年頃から、1万円以下のワイヤレスヘッドホンの性能向上が目覚ましい。どれも機能的には大きな差はないという感じだろう。この中で、1MORE SonoFlow Pro HQ51、AG-WHP01K MK2は試聴したが、音質面で大きく差があるとは感じなかった。
この流れの走りといえるQCY H3 Proは加えたいところだったのだが、さすにがヘッドホンみたいな大物をいくつも買う気にはなれないので、今回はパスした。最近YouTubeのレビューで目立つのがHAYLOU S40で、デュアルドライバーでセール時、なんと6000円を切るというのがすごい。
1万円前後の製品はAnkerが安定の選択のようだが、Anker Soundcore Space Oneは確かに出来がよかった。ただ、2023年と少し前の製品ではある。

更なる質を求めて、1万円以上の製品を買うのなら、2~3万円のミドルクラスは中途半端

どんな製品でもそうだが、メーカーがシリーズの中で一番力を入れるのは一番売れているモデルだ。一番売れるのはエントリーモデルやミドルクラスというのが一般的だが、ワイヤレスオーディオではフラッグシップモデルが一番売れているという事情がある。そのため、下の価格帯の製品にはあまり力が入っておらず、そうした隙をついて、中華オーディオメーカーが1万円以下の製品でしのぎを削っている。
今回、各社フラッグシップクラスやミドルクラスのワイヤレスヘッドホンを試聴したが、ミドルクラスの2~3万円の価格帯にそれほどの魅力を感じなかった。確かに1万円以下より、音が良く、ノイズキャンセルの性能が高い場合もあるのだが、倍の価格の価値があるかというとそうは思わなかったからだ。
SennheiserJBLの音が好きというのなら、ミドルクラスを買ってもいいと思うが、特にそういう好みがなく、漠然とより良い製品が欲しいと思うのなら、少し高いが5万円を超えるフラッグシップモデルを買うのを勧める。それが予算面で厳しいのなら、中途半端にミドルクラスを買わずに、進化の速い1万円以下のモデルをどんどん買い替えていく方がよい。

ワイヤレスオーディオ製品の寿命は短い

一般的にスピーカーやアンプなど、オーディオ製品は長く使えるのだが、ワイヤレスオーディオ機器は別である。

  • バッテリーが消耗しても交換できない
  • Bluetooth CODECなど無線技術の変化が早い
  • ヘッドホンはイヤホンと違い、スライダーの可動部など消耗する部分が多く、壊れる可能性が高い

これらのせいでワイヤレスオーディオ製品の寿命は短いのだ。5年前のフラッグシップモデルのワイヤレスヘッドホンも、今の1万円以下の製品に負けるところが多いだろう。いくら気に入っていても、バッテリーの寿命はどうしようもないし、長く使えば、回転部分やスライダーが止まらなくなったりする。
なので、高価格帯の製品を買っても、スマホのように2年ぐらい経ったら、売却して、新しいものを買うというスタイルが最適とならざるえない。これを承知して、ワイヤレスイヤホンやヘッドホンの高価格の製品を買ったほうがいい。