のまネコ問題■モナティッシュ運動まとめ■
http://monatissue.fc2web.com/
このサイトは、
@イる本 - のまネコ問題まとめサイトなどで
http://d.hatena.ne.jp/illbook/20051007/1128697162
で知ったんだけど、地方の女子高生がやってる。
※なんで「地方」ってわざわざ書いたかというと下記のリンク先を読めばわかるように、デモなどに参加したいけど参加できない人のために何かしたいという気持ちがあるから
http://monatissue.fc2web.com/think.html
ここを読めばわかるように、かなり純真な気持ちで運動をしているようだ。
オオツカダッシュ - 少女フェミニズムノート.3 ティッシュを配る少女
http://d.hatena.ne.jp/VanDykeParks2/20051011/1128969656
それに対する分析。
のまネコ問題で目立つのは過激な言動をネットでする人たちで、それをぁ系の人たちは、チャンネルボーイと呼んでいる訳だが、今の議論だと、こういう「静かな運動家」である「チャンネルガール」を見逃してしまっているのではないかという気がしてきた。
そして、この女子高生のサイトを見て思い出したのが、サイコドクターの風野春樹さんによる「押しかけ厨」の研究で引用されていた香山リカ氏が映画『ギャラクシー・クエスト』について触れている文章。
http://psychodoc.eek.jp/abare/oshikake.html
以下は、中塚尚子(香山リカ)氏が書いた「『借り』を返したい――「ひきこもり」のささやかな治療論」(こころの臨床ア・ラ・カルト20巻2号,2001年)という文章より。
筆者にとって最も印象的だったのは、これまで現実世界では活躍の場がなく、物語世界に閉じこもりがちな生活を送っていたマニアたちが、宇宙船艦長役の俳優から「これは現実なんだ! キミたちの知識が必要だ」と言われた瞬間、「わかりました、艦長!」と一気に活気づくシーンであった。名声やお金が与えられるわけではないが、彼らの「万能の核」が満たされる奇跡が起きたのである。
(中略)
持てる知識をすべて使って彼らの手助けをするマニアたちは、この「借り」を返すときがやってきたからこそ、あれほど歓喜に満ちた表情をしているのではないだろうか。「ひきこもり」たちが望むものもまた、「この世ならぬ場所で『借り』を返したい、返せる相手がほしい」ということにほかならないのではないか、という気がする。となると、彼らを部屋から引き出すのは、名声でもお金でもなく“小さな奇跡”ということになろうか。
この文章は、最近だとbewaadさんが、先日の総選挙の話題の時にも引用している。
bewaad institute@kasumigaseki(2005-09-11) 総選挙の朝に思うこと
http://bewaad.com/20050911.html#p01
そして、風野春樹さんは香山リカ氏の文章を受けて、「押しかけ厨」をこう分析する。
レポートの中で、「厨」が対象者をターゲットにしたきっかけとしてしばしば書かれていたのは、対象者がホームページに書いた「誰か手伝って」とか「アシがほしい!」といった、何気ない一言だった。「厨」たちは、対象者が冗談半分で書いたその言葉を真に受けて自宅に押しかけ、拒絶されると逆上する。そんな例がいくつか見られるのである。
多くの人が「厨」の思考に困惑したと思われるのだけれど、ホームページで目にした憧れの作家さんの「手伝いがほしい」という一言は、彼らにとって、艦長の「キミたちの知識が必要だ!」のひとことと同じなわけだ。憧れの作家を自分の力で助けることができる! それは空虚感に満たされた彼らにとって“小さな奇跡”であり、自分の「万能の核」が満たされ、「借り」を返すことのできる輝かしい瞬間なのだ。だからこそ、彼らは同人誌の奥付を頼りに押しかけるのだ。自分が歓迎されると信じて。
それは確かに彼らを部屋から引き出す奇跡だ。とはいっても、中塚がいうほど希望に満ちたものではなく、迷惑きわまりない奇跡ではあるのだけど。
今回ののまネコ問題は、こういった心理を見抜いて、扇動させている人がいるんだろうなーとは思う。
最初のサイトで見ると、のまネコリングの参加者は10代が多い。そして絵を描いたりと、同人活動をしている人が多いようだ。もちろん、ウェブリングなんてのは同人系の文化だから、そのような傾向が強くなるのだろうとしても、この「押しかけ厨」問題に通じるものがありそうではある。
過激な言動をする人も静かな運動家も心理は同じだ。ただ、その行動が違うだけである。チャンネルボーイは、扇動家の作ったまとめサイトを見て、子供コピペ兵と化し、チャンネルガールは後方支援をする。
これは昔の左翼運動と変わらないのだ。使う媒体がネットになり、活動が手軽になっただけで、運動の動員の構図は変わらない。
「まとめサイト脳」の話を書いた時には触れ忘れたのだが、まとめサイトは2ちゃんねるのスレの住人が作っている一方的なものが多いという前提が忘れられがちである。2ちゃんねるのスレのままだと警戒心が湧くのだが、まとめサイトになるとその警戒心は薄れてしまう。
まとめサイトは、左翼運動でいう集会で、そこで各自にFAQという名のテンプレートを自分なりの解釈をせず、刷り込まれる。そして、参加した子供はコピペ兵になり、コピベ爆撃というアジビラ蒔きをする。
子供コピペ兵は自分たちの持つ武器がアジビラしかないのだから、そりゃ話も繰り返すだろう。うんざりしながらも、相手をするぁ系の人たちは昔から戦争をしていた歴戦の勇者だ。一人で数十人分の戦力を持つ特殊部隊といってもいいだろう。「まただよ…」と思いつつも、倒しても倒しても出てくる子供コピペ兵をニコニコしながら銃で撃つ。
そして、はてなダイアリーは戦場となった。*1
平坦な戦場で僕らが生き延びること
―ウィリアム・ギブソン "THE BELOVED (VOICES FOR THREE HEADS"