PS5が普通に販売されるようになり、FF16の発売も近付き、PS5やXbox Series Xのようなゲーム機は、どういうテレビなら性能を発揮できるか悩んでいる人も多いだろう。こうした新世代ゲーム機用のテレビで重要なのは、HDMI 2.1の各種規格に対応しているかどうかだ。具体的には、4K120p / VRR / ALLM /eARC といった機能が挙げられる。詳しくは下記の記事を参照して欲しい。
【西川善司の大画面☆マニア】プレステ5対応テレビの正しい選び方。キーワードは「4K/120p」「VRR」-AV Watch
去年までは、LGの4K120pに対応した有機ELテレビの型落ちモデルがAmazonでよくセールしていたのだが、現在LGの有機ELテレビでセール対象になるのは、4K120pに対応していない廉価版のAシリーズだけになってしまった。Amazon本体では、4K120pに対応したモデルを扱うこと自体なくなり、売っているのはマーケットプレイスのみだ。
※今、LGのテレビが一番安く買えるのはコストコである。時々開催されるLGセールだと、かなりの値引きが期待でき、5入会金を払っても安い(6/4まで)
Amazonで、LGの55型4K有機ELテレビが99,800円 - AV Watch
55型有機ELテレビが10万円を切っているというこのニュースが話題になっていたが、これが廉価版のモデルである。
LGの代わりにREGZAがセール対象に
4K120pで表示できるゲームタイトルはごく一部だから、割り切って、LGのAシリーズを買うという手もあるが、4K120pに対応したREGZAの有機ELテレビがプライム会員限定セールの対象になっているので、どうせ買うのならこちらだろう。具体的には2021年モデルのREGZA 48 / 55X8900Kで、48型は119,800円、55型は135,800円だ。
www.regza.com
【西川善司の大画面☆マニア】4K120p対応の有機ELレグザ「X8900K」。Android化した48型は買いか!?-AV Watch
HDMI 2.1規格にフル対応
4K120p / VRR / ALLM / eARC といったHDMI 2.1の各種規格に対応しているため、PS5やXbox Series Xといったゲーム機や、RTXシリーズを搭載したゲーミングPCはもちろん、最新のサウンドバーを接続するのにも困らない。ただ、REGZAのeARCは後述するように、少々問題がある。
表示遅延が小さくてゲームに強い
4K / フルHD1080pの120p入力時の表示遅延は0.83msと非常に高速なのもゲーム向きだ。ただ、それ以外の入力では約9.2msecになる。4K120p表示に対応したゲームは少ないので、実質的に約9.2msecとなるが、これも60fpsなら1フレーム以下の遅延である。
映り込みを抑えた低反射パネル
有機ELテレビは、光沢のあるグレアパネルの製品が多いが、本製品はハーフグレアの低反射パネルを使っているため、映り込みしづらい。明るいリビングなどでの使用を考えている人はハーフグレアの製品が向いている。
REGZAはeARC周りでトラブルが多いため、サウンドバーを使う場合は要注意
REGZAは表示遅延の小ささなどからゲームに最適と言われるのだが、実は少々問題がある。eARC周りで、表示が乱れる、音が途切れる、などのトラブル情報がかなり多いのだ。
REGZA eARC - Twitter検索 / Twitter
一番良い解決方法は「eARCをOFFにすること」だという。※参考 https://www.rakugakidou.net/202301090115log.htm#20230115regzaps5
eARCとは、簡単に言うと、テレビから出力されている音声データをAVアンプやサウンドバーなどのオーディオ機器に戻す規格である。ほとんどのテレビにはARCという規格がついているが、ARCは光デジタルと同じ帯域しかないため、伝送量が多いDolby Atmosのような新しいオーディオ規格を伝送するには帯域が足りない。そのため、ARCの帯域を増やしたのが、eARCである。最新のサウンドバーは、このeARCを前提としており、HDMI入力は一つのものが多く、BOSE Smart Soundbar 900のようにHDMI入力がないものもある。サウンドバーを使おうと思っている人はREGZAでの相性はちょっと注意したいところだ。
また、Swtichなどで使われているリニアPCMのマルチチャンネルがREGZAを通して、eARCで接続すると、なぜかステレオになってしまうという問題もある。
REGZA(東芝)のクソ対応とジョーシンの神対応!REGZAは絶対不具合を認めないし確認もしない!メーカー保証に期待してはいけない!初期不良対応は無いものと思え! | Secura Vita
自分はeARCをトラブルの宝庫と思っているので、入力はすべてAVアンプに集約し、eARCはテレビ自体の音声をAVアンプに入力することにしか使ってないのだが、おかげでトラブルとは無縁である。REGZAでSwtichの5.1chを楽しみたい人は、AVアンプの導入を前提とした方がいい。
※2023/12/7追記
https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/avwaward/1548162.html:text
https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/avwaward/1551600.html:text
この記事によると2022年のREGZAはPCM5.1chをeARC転送できるようになったそうだ。新しいモデルでは解決しているとのことで素晴らしい
シャープのテレビが『エルデンリング』向きという怪情報
「エルデンリングの暗いところまで見える4Kテレビくれ」と伝えたら店員さんが極まっていた - Togetter
以前、Twitterで『エルデンリング』に向いた4Kテレビとして、シャープのテレビが挙げられていたことがあるが、間違った情報ばかりであった。この中で、話題になっているシャープの4T-C55DP1はシャープがXLEDと呼んでいる量子ドット×ミニLEDの液晶パネルで、画質は確かに高評価なのだ。しかし、HDMI 2.1の規格にほとんど対応しておらず、4K120p入力では解像度が半分になってしまう。『エルデンリング』は4K120p表示はできないので、直接は関係ないが、4K120p表示ができるゲーム機を繋げるテレビとして向いているとは言えないだろう。
4K120p入力で解像度半分になっちゃう問題。TVメーカー5社に聞いた - AV Watch
ゲームモードでも、入力遅延は18.4msと他社のテレビと比べると大きい。
【西川善司の大画面☆マニア】国産第1号の量子ドット×ミニLEDアクオス降臨。輝度も完成度も高し!-AV Watch
これらの情報を見れば、とてもゲーム向きといえない。ゲーム向きといえるテレビのメーカーは、Panasonic、ソニー、REGZA、LGだが、店員が、この4社のテレビを挙げない時点で、シャープの販売員なのでは?と強い疑いを持つ。
ネットで広まる焼き付いた有機ELテレビは古いパネルを使った製品
時々Twitterで、パネルが焼き付いた有機ELテレビの写真が話題になるが、焼き付いた有機ELテレビの型番を確認すると、ほぼ2018年以前の製品である。2019年以降の製品は焼付き対策がされたパネルになっているから、パネルが焼き付いたという話が出てこない。せっかく焼付き対策をしたのに、対策をしていない頃に出た製品での焼付きの話が出回ってしまうのだ。*1
寝落ちで焼き付くというが、寝落ちするような状況なら、ゲーム機の省電力モードが発動するし、テレビも止まった画面を表示していると、スクリーンセーバーを起動したり、自動で電源をオフにしてくれるのだから、寝落ちでの焼付きは心配する必要はない。
「すごい店員さんに教えてもらった」という話に人は弱い
有機ELは暗部の表現に強いので、『エルデンリング』のようなゲームは当然綺麗に表示される。Twitterで「有機ELテレビ エルデンリング」で検索すれば、綺麗さを高評価する人は多く見つかるし、最近の量販店では、PS5と大画面のBRAVIAを繋げた展示も多いから、その綺麗さを体感しやすいだろう。
売れ残ったモデルをシャープの販売員が巧みに誘導して買わされたのでは?と思ってしまうが、「すごい店員さんに教えてもらった」という物語マーケティングを安易に信じる人が多かったというのがよくわかる。今回、自分がよく知るジャンルでの情報だったので、情報の信用性の低さに気付けたが、Twitterで広まる情報、特に製品のお勧めはこういうことが多いのではと怪しんでしまう案件であった。
*1:パネルにどのような対策がされたかはこの記事を参照 【西川善司の大画面☆マニア】新世代有機EL REGZA「65X920」は明るく美しい。地デジの安定感+4K(試験)放送体験-AV Watch