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同内容の本が別々の出版社からKindle化される不思議

Kindleを見ていると、ちょっと不思議だったり、疑問に思うことがことがあったので、まとめてみる。読んで面白かった本のお勧めでもある。

同内容の本が別々の出版社からKindle化される−『百億の昼と千億の夜』『日中十五年戦争史』−

百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫JA)

百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫JA)

角川書店版はセールで1月29日のPM11:59まで264円
百億の昼と千億の夜』のKindle版は、早川書房が2012年8月に出して、角川書店が2014年8月に出している。紙の文庫版は、早川が1973年と2010年に、角川が1996年に出しているので、これらの電子化と思われるのだが、どのような出版契約になっているのだろうか?『日中十五年戦争史』は日中戦争を理解する本として非常に良かったのだが、良書が埋もれてもったいないと思われたのか、中公新書のあと、改題されて、講談社学術文庫で出ていた。この改題のせいで、Amazonの複数フォーマット紹介には入っていない。
元々の中公新書版は1996年と結構古く、Kindle版が出たのは2014年2月。講談社学術文庫は2007年で2014年11月にKindle版が出た。これまたどのような出版契約になっているのか不思議な事例。

文庫版が出ているけど、Kindleは単行本価格

解体屋外伝 (講談社文庫)

解体屋外伝 (講談社文庫)

解体屋外伝

解体屋外伝

『解体屋外伝』の文庫版は講談社から出ているのだが、河出書房新社よりいとうせいこうレトロスペクティブシリーズとして、初期のいとうせいこう氏の小説が新たに刊行されたため、このような事態になっている。出版契約としては不思議はないのだが、読者としては嬉しくない事例。『ワールズ・エンド・ガーデン』のKindle版も単行本価格である。『ノーライフキング』『ワールズ・エンド・ガーデン』の文庫版は新潮社から出ていた。『ノーライフキング』だけはあまりページ数がないからか文庫版で出たので、Kindle版の価格も文庫版準拠である。ノーライフキング』『ワールズ・エンド・ガーデン』『解体屋外伝』といったいとうせいこう初期小説三部作は今読んでも面白い作品なのだが、『ノーライフキング』は都市伝説をベースに書かれたものの、ネット時代を示唆するものが非常にあり、今に読むと興味深い。『ワールズ・エンド・ガーデン』は東京にムスリムティーができるという刺激的な設定なのだが、話はちょっと抽象的。『解体屋外伝』は文句なしに面白いのでお勧め。

Kindle化した版元とは別の会社が最新の紙の文庫版を出す−『謀殺のチェス・ゲーム』−

謀殺のチェス・ゲーム (ハルキ文庫)

謀殺のチェス・ゲーム (ハルキ文庫)

Kindle版はセールで1月29日のPM11:59まで160円
これは「電子書籍の」不思議ではないけど、あまりに謎なのでメモしておきたい。
自分がよく勧めている『謀殺のチェス・ゲーム』だが、もともとは角川書店が1982年に文庫で出した。その後、1999年に角川春樹事務所が国産SF小説の名作をハルキ文庫で多数復刻、去年の10月に角川春樹事務所から文庫版が新装版として出た。しかし、電子版は角川文庫から出ているのだ。
※99年版を角川として書いていたので記述を訂正
角川書店角川春樹事務所という、非常に微妙な関係の出版社の間ということもあり、一体何がどうしてこんなことになったのか気になる。
たまに角川書店とハルキ事務所は同じ角川系列会社だと誤解している人がいるが、まったくの別会社である。角川春樹事務所は角川書店を出た角川春樹氏が立ち上げた出版社で、角川書店角川春樹事務所の話はタブーだとか…。
角川から出ているKindle版が非常に素っ気ない表紙なのは、表紙デザインの電子化契約はしてないからなのだろう。

単行本と文庫版がKindleで両方出ている−MM9シリーズ−

MM9─invasion─

MM9─invasion─

MM9─destruction─

MM9─destruction─

MM9シリーズは最初のものは文庫版だけ出ており、『―invasion―』と『─destruction─』は単行本のKindle版が出ていた。その後、二つも文庫化され、文庫をベースにしたKindle版が出たのだが、元の単行本のKindle版も残っているという困った事態になっている。
MM9シリーズは、物理的な法則を無視する怪獣が存在する理由を神話宇宙という設定でうまく説明しており、怪獣と世界に残っている神話を繋げたスケールの大きな話とボーイミーツガール話が併行するのが面白かった。
ここは退屈迎えに来て』は最初単行本を電子書籍化したものが出ていたが、文庫化されるとKindleでは文庫版のみになり、単行本版のKindleは削除されていた。たまたま単行本版のKindleを欲しいものリストに入れていたので削除に気付いた。同じ出版社で単行本と文庫が出ている場合、このような配慮をして欲しいものである。
ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

※シロクマさんが文庫版の解説を書いているそうだ
『ここは退屈迎えに来て』 文庫版の解説を担当しました - シロクマの屑籠[↑B]