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前島賢『セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史』が出ました&町田のあおい書店で『セカイ系とは何か』を買うと特典ペーパーがついてきます

セカイ系とは何か (ソフトバンク新書)

セカイ系とは何か (ソフトバンク新書)

すっかり告知ブロガーと化してますが、また告知です。
前島賢さんの初の単著『セカイ系とは何か』が発売されました。この本で、僕は「セカイ系」という言葉が生まれた当初についての話をして、ご協力させていただきました。ゲラも読ませていただいています。
ソフトバンク新書: セカイ系とは何か[↑B]
目次一覧です。


この本は「セカイ系」という言葉を軸に、90年代後半から今までのオタク史、正確にはオタク論史を辿ります。「セカイ系」は生まれた当初は「エヴァっぽい」作品を表す言葉でした。それが、今では社会論をも語れる言葉となっています。なぜ、ネットで生まれたジャーゴンが、このように大きく成長していったか? それを丁寧に紐解くのが、この本です。
典型的なセカイ系作品といわれるのは『ほしのこえ』『最終兵器彼女』『イリヤの空、UFOの夏』ですが、実は現在の「セカイ系」の定義をこれらの作品はすべてクリアーするわけではありません。詳細はリンク先を。
セカイ系論議葬送。 - 帰ってきたへんじゃぱSS[↑B]
セカイ系』が「エヴァっぽい作品を指す言葉」だった時代に、この三作品が「セカイ系」とされ、その後、「エヴァっぽい作品」から「キミとボクとセカイ以外の中間項が抜け落ちた作品」を指す言葉になっていった段階で、齟齬が生じたのでしょう。
そこで、この本の中では、中間項が抜け落ちた作品という一般的な定義を捨て去り、「セカイ系」という言葉がどう広まっていったかを説明しながら、オタク的なガジェットを用いながら、思春期の問題、特に自意識に焦点を当てた物語を「セカイ系」であると定義づけています。そのような自意識の物語がなぜ注目されたか? それは『エヴァンゲリオン』によって、オタクの作品の受容のスタイルが変わったためと論じてます。
前島さんのはてダがプライベートモードなので、自分の記事から引っ張ってきますが、
前島賢氏のスレイヤーズ発言の真意説明 - ARTIFACT@ハテナ系[↑B]

エヴァ』以降、オタクの作品語りってかなり変化してるんです。それまでの「作品の細部(それは設定であったり作画であったりするでしょう)に注目して薀蓄を語る」という態度から「作品ハマっている自分自身について語る」へと決定的に変化した。それの一方が「シンジ君は僕なんですよ!」という「実存化」であり、もう一方が「○○萌えー!」です。

この解釈を丁寧に説明し、それに歴史的な流れを解説しているのが本書といえます。2007年の時点で、本書の原型はできていたと言えるのかも知れません。


そして、町田のあおい書店で『セカイ系とは何か』のフェアを開催中です。こちらで購入すると「プレ・セカイ系の時代とは?」という特典ペーパーがもらえます。「セカイ系」を考えるために、前島さんが重要だと考える90年代の評論や創作を取り上げています。

あおい書店町田店はmodiというビルに入ってます。

アパレルショップばかり入っているオシャレビルですが、入り口にエレベーターがあるので、アパレルショップをスルーして一発であおい書店に行けます。午後10時30分まで開いているので、遅くなっても安心。

右側が『セカイ系とは何か』のフェアです。左側では伊藤聡さんの『生きる技術は名作に学べ』のフェアを開催してます。

太田克史さん、伊藤聡さんにPOPを書いてもらってます。僕も書かせていただきました。