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北朝鮮でヤクザ大活躍−『国境』(黒川博行著)−

国境 (講談社文庫)

国境 (講談社文庫)

北朝鮮が舞台で日本のヤクザが主人公というテーマにちょっと惹かれて、ブックオフの100円棚で買った。リンクは文庫だけど買ったのは通常版。買ったのは結構前で、ふとちょっと読み始めてみたら面白かったので、長編にもかかわらず一気に読んでしまった。次から次へと事件が起きて、テンポがよかったからか。内容は、北朝鮮を舞台にしているが、政治とはほぼ無縁で、詐欺にあったヤクザとその腐れ縁の建設コンサルタント(真っ当な職ではない)の一般人が、詐欺をした在日朝鮮人北朝鮮に逃げたために、北朝鮮まで追いかけるという話。
100円棚で買う本ってそんなに内容に期待してないんだけど、これは普通の日本人が北朝鮮でいかに非合法スレスレなことをするか、という話として面白かった。北朝鮮ものというと、どうしても諜報組織の人間が、組織のバックアップを受けて潜入…みたいな話が多いけど、そういった組織のバックボーンを持たない人間が北朝鮮で窮屈ながらも活動するのが面白い。また、詐欺の部分は、豊田商事なんて懐かしい単語も出てきて、現実にあるかも…と思わせる。
帯によればノワールものらしいんだけど、そもそも相手が詐欺師という悪人で、主人公側はあまり悪人に見えないからか、倫理的抵抗感は特になかった。ヤクザといっても、フィクションによく出てくるような仁義を通す系だからか。
かなり分厚いけど、北朝鮮の潜入方法やら、詐欺の手法などの解説は最小限に留められていて、登場人物の造形を描くのに力が入っており、かなりキャラが立っている。北朝鮮国内での食事のまずさや、建物の匂いやら潜入する時に偽装するための服の匂いなど、生活感をしっかり描いているのは特に面白かった。作者は関西大好きらしくて、関西の地名が一杯出てくる。関西の人ならより楽しめそうだ。
疫病神 (新潮文庫)

疫病神 (新潮文庫)

これの続編らしい。