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ダ・ヴィンチのチェックシートだけで「文化系女子」語るの禁止な!

ユリイカ2005年8月増刊号 総特集=オタクvsサブカル! 1991→2005ポップカルチャー全史 ユリイカ2005年11月号 特集=文化系女子カタログ ダ・ヴィンチ 2006年 04月号

文化系女子」について、ユリイカ文化系女子カタログ特集号で執筆された方々が詳しく書いているのでそれを紹介。

Tigerlily Scribble - 文化系女子ユリイカダ・ヴィンチ
http://d.hatena.ne.jp/Tigerlily/20060430#p2
文化系女子カタログ」は、『オタクVSサブカル!』参加女性陣を面白がった郡編集長(当時)に「何か企画ない?」と呼びかけられた堀越さんが、この機会に他のところではあまり読めない原稿を頼みたい人々を思い、オタクもサブカルハイカルチャー(とされているもの)もすべてカバーできる幅を持つ語として「じゃあ文化系女子」、と言ってみたところからはじまった、と聞いています。女性の場合、「オタクVSサブカル」の対立は「男性/一般」の場合以上に成り立たないし、オタクもサブカルもハイもローもそれぞれ分断されるものではなく有機的に繋がっているもの、という見地から。

野中モモさんによる記事。ユリイカでの「文化系女子」はもともとはBeltorchiccahttp://www14.big.or.jp/~onmars/)の堀越英美(demi)さんが提案したものだった。

daydreambeliever - [文化系女子
http://d.hatena.ne.jp/cachamai/20060428/p3

  1. まず感じることは、「ユリイカ」をちゃんと読んでいる人はほとんどいなくて、「ダ・ヴィンチ」の「文化系女子」チェックリストにのみ、反応している方が、あまりにも多すぎるように思えます。しかも、「ダ・ヴィンチ」の特集すらも目を通してなくて、二次以降の情報として、ウェブに上げられたチェックリストからの過剰反応が、大半を占めているように思えてしまいます。あのリストを、特に、三十代女性が見た場合に、嫌な気持ちになるのは、ようくわかる。わたしだって、あれは嫌だなあ、と思ったし!
  2. でも、「ダ・ヴィンチ」の特集名が、「カワイイ文化系女子としたい!」であることを考えると、あれは、「文化系男子」のフィルターを通した、幻想の「文化系女子」像であって、それに、現実の「文化系女子」的に生きている方々が、違和感を覚えるのは、むしろ当たり前なのではないでしょうか。だって、「文化系男子に聞く文化系女子としたいこと」アンケートが、ほぼすべて、文化を分かち合う共存共栄ではなく、すべて自己理解、そして、セクシュアリティの合致へと、集約されている*1のを読んで、げんなりするのが、まさに「文化系女子」であることの証明に他ならないような気すらもしてしまうから。

木村カナさんによる記事。

daydreambeliever - [文化系女子]―2
http://d.hatena.ne.jp/cachamai/20060430/p1
daydreambeliever - [文化系女子]―3
http://d.hatena.ne.jp/cachamai/20060506/p1

最近の「文化系女子」の言及の構図をコンパクトにまとめたもの。

Applied Disgust Memo - 「文化系女子」に関する過去ログが多くてきっついなー
http://d.hatena.ne.jp/towatowa69/20060511/1147317650
Applied Disgust Memo - はてなAERA文化系女子(「文化系女子」に関する過去ログが多くてきっついなー2)
http://d.hatena.ne.jp/towatowa69/20060514/1147594193


大きな違いとして、ユリイカでの「文化系女子」は女性側からの提案だったのが、ダ・ヴィンチは男性側の視点であることだ。ダ・ヴィンチ編集長にとっての文化系女子はなんと吉永小百合だという。だから、ダ・ヴィンチのチェックはそもそもが男性のドリーム視点。
※「提案」というのが誤解を受けていたので補足。ユリイカの「文化系女子カタログ」は「今まで語られてこなかった女子発の文化を再評価する試み」であり、「文化系女子というカテゴリ」を作ろうとしたわけではない
ちなみに、「オタクVSサブカル!」でオタク側である自分が女性に執筆を頼まなかったのは、「オタクVSサブカル」という切り口で書ける女性の書き手が思いつかなかったから。今から考えると、そんな枠を意識せずに良いと思う女性オタクの書き手に頼めば良かったと思うけど。
文化系女子」という造語が不幸だったのは、ダ・ヴィンチや『オタク女子研究』(ISBN:4562039922)でモテや恋愛の視点を持ち込まれてしまったこと。
※参考

kmizusawaの日記 - 外してるかもしれないけどついでに書いておく
http://d.hatena.ne.jp/kmizusawa/20060513/p2

もちろん、言葉というのは生き物だから、あとからの定義で変わること自体はしょうがない。でも、ユリイカに関わった人間として、ちょっと何だなあと思うので、少しでも原義が伝わるように、キーワードはより細かく書いてみた。チェックシートに触れなかったのはそれを定義にされるのがいやだったから。
今後もあのチェックシートを見て「文化系女子」を語る人は出てくるだろうし、「文化系女子」が男性の発想で始まったと誤解する人はいるだろう。ここまで言葉が広まってしまった今、いちいち誤解を相手にしてられないので言及しないが、とりあえず自分のスタンスとしてはタイトル通りで。

児童小銃 - MOE 2.0 : A Reformulation of MOE
http://d.hatena.ne.jp/rna/20051221/p1

「萌え」という言葉を拡張しようと主張したなんばさんの意見は整理に参考になった。ダ・ヴィンチによって「制限による派生」を防ぎたいというのが自分の立場か。目指すは「拡張による派生」?