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三次元ポルノと二次元ポルノの違い

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http://d.hatena.ne.jp/spam/20060210/1139544511
環境的な誘因からの説明ができたら面白そうだなーとゆーことです。

環境的要因だったら、パソコン通信、そしてインターネットの普及が大きいと思う。
「萌え」という単語がどう生まれたかについて、NIFTYフォーラム説など諸説あるけど、パソコン通信が発端であるという点では変わらない。
かつては、メディアに対する個人の感想を、見知らぬ者に伝える場は、雑誌投稿欄ぐらいしかなかった。それがネットの普及によって簡単になる。「萌え」は他者に自分がキャラクターに対して抱いている感情を伝えたい時に生まれた単語であるといえる。最近は感情の伝達というよりも感情の共有化という感じだけど。

と、深くうなずく一方で、これって電波男さんみたいに心に傷を負った人とか、すんごい内気な殿方にしか適合しなさそうに思えますことですよ。大半のユーザー層(「二次元メインだけど、小倉優子も捨てがたいよね!」とか、「基本は三次元ポルノだけど、青年マンガのエロシーンはアリだよね!」みたいな方々)には当てはまらないんじゃないかなー、と(ちなみに、この辺はウチの兄の行動を観察してて得た知見なので、標本サンプル数は超少ないです・笑)。

性欲を消費するためのポルノとしては、二次元ポルノも三次元ポルノも同じように消費する人が多いだろう。
しかし、今の二次元ポルノは単に性欲を消費するためだけ(抜きアイテムとかおかずとかいわれる)ではないから問題はややこしい。当初の話題の「萌え」の二面性に繋がる。
二次元ポルノを好む層は、抜きアイテムとしてだけではなく、フィクションの恋愛も楽しみたいと考えている。しかし、恋愛を楽しめる話が供給されているのは、ほぼ二次元ポルノに特化されているため、二次元ポルノを好むのではないか。三次元ポルノにおいて、登場する女性は、容姿や体型のみが重視され、内面はないことになっている。これでは、恋愛を楽しもうにも楽しめない。
フィクションの恋愛を楽しみたい場合、ポルノ要素がなくても構わない。だからこそ、コンシューマーゲームでの恋愛ゲーム、通称ギャルゲーはヒットした。ただし、コンシューマーゲームの恋愛ゲームは、話よりシステム重視という傾向があったために衰退し、最終的にエロゲーの移植やオリジナルでもノベルゲームばかりになったと思われる。ここでも、ゲーム的に「女性を攻略する」というより、恋愛の過程を楽しみたいという意識が伺えるだろう。*1
この「なぜ二次元か?」という問題に関しては、『ときめきメモリアル』によって開拓された恋愛ゲームにおいて、そこに登場する女性キャラクターを実在する俳優にしたゲーム*2を考えると興味深い。これらのタイトルはまったくといっていいほどユーザーに支持されなかった点からも、二次元の重要さが伺える。なお、エロゲーでも、人気エロゲーを実写化したものがあったが*3、これらもその後続く作品は出ていない。
実写恋愛ゲームは死屍累々であるが、制作者側に二次元を三次元にすれば、新しい層が開拓されるという思いでもあるのだろうか。この辺は不思議なのだが。
ゲームでなく、映像作品においては、恋愛を扱った実写ドラマはほぼ女性向けにカスタマイズされているために男性は楽しめない。ギャルゲーやエロゲーで、こういった男性の恋愛話の需要が発見されたため、現在のアニメ業界は萌えアニメが増加したのだろう。
また、プレイヤーキャラや感情移入対象としての主人公の問題もあるだろう。エロゲーやギャルゲーにおいて、主人公は匿名化が高い。有名な「目を隠す」はその一端だ。恋愛の話を楽しむためには、主人公への感情移入が大事だが、これが実写だと、具体的に容姿などが提示されるため、感情移入が難しくなる。
前回の話に通じるが、実在する俳優が演じている場合、背後に実際の人間関係などが想定されるために、恋愛感情を抱いても「どうせこの娘には男がいて(以下略)」になるのではないだろうか。
まとめると、三次元ポルノは恋愛フィクションをフィクションとして楽しむためにはノイズとなる要素が多いということだ。
フィクションを楽しむ際に「それはそれ、これはこれ」と思考する必要があるが*4、恋愛のように日常的なテーマは、そういう楽しみ方がしづらいのではないだろうか。

*1:ただし、まったく面識のない女性と関係を構築し、恋愛関係に至るという話はあまり見受けられない。『同級生』はナンパゲームだったために、そういった部分の描写はあったが

*2:『卒業』など)

*3:アリスソフトの『あゆみちゃん物語』やアイルの『脅迫』(http://home.jhv.co.jp/kyouhaku/)など

*4:ミステリーの殺人事件を見て、なんてひどいことを! もうこれ以上読みたくない!とは思わないだろう