映画公開時に見に行こうかと思ったものの、行こうとした時には小さい館に移ってしまい、席が少ないために結構満席だという話を聞いて行くのをやめ、結局DVDで見た人の感想。
- 90分だと、モノローグの多さは気になる
- 何回もテロップで「20xx年 ○○」って出るのはどうかと思った。シナリオを再構成すれば、もっとスムーズな話の流れになりそう。「世界」の分岐とかあるし、ゲームのシナリオならループゲーとかにもできそうだ
- ヒロインのアニメアニメしたアクションや声が気になりまくり。男性キャラが俳優なだけにその落差が目立つ
- 男性が主人公になっただけに『ほしのこえ』よりヒロインの影が薄い
- 背景は相変わらず綺麗。ただし、あまりにもくっきりし過ぎている感がある。いつでもどこでも太陽光が入っているのがうるさい。I.Gなんかだとデジタルエフェクトでぼやけた空気感を出す方向にいっているけど、そういうのがほぼなかった
- 他の人の評価点になりやすい高校生活や自然の残っている田舎といったノスタルジーを刺激する部分は、個人的にはフックにならないので評価点にはならず
- 総合的に、ヒロインがかなり受動的になった分、男の考える少女漫画的恋愛話という印象が強くなった
- パイロット版の方が面白そうだったという感想があったけど、どんな映画も予告編が一番面白いのでそれは酷だろう
- あの世界の戦争状況を勝手に妄想したくなった
人に見る価値あるか?と聞かれるとなかなか困る作品。新海作品は、ストーリーが面白いという訳ではなく、「気分」を伝える作品だと思っているので、その気分にノレなければ、つまらないと思うだろうし。その「気分」って何だよと思われるだろうけど、うまく説明している人がいる。
スタジオ世界機械(http://www.h7.dion.ne.jp/~nagakawa/)の11/20より。
http://www.h7.dion.ne.jp/~nagakawa/new/old2004-11.html
この作品を見て、感動できることで、これまでの自分の生き方が肯定できる。
それほどまでにピンポイントでオレ直撃。というか他の人に分かるのか。というか、分かってたまるか。
74年生まれ、「非主流派男子」だったオレがあの頃に感じていた諸々の感覚が鮮烈に蘇ってもう居てもたってもいられない!どうにかなりそうだった。というかなった。
「かつて確かに感じていて、もう忘れてしまったようなうまく言葉にできない感覚や雰囲気」を呼び起こさせる映像をどうしてこれほどまでに作れるんだろう。
それより何より、こういう事を感じていたのはオレだけじゃなかったんだ!という感動。理由もなくただ恋することができた中学時代と、それが尾を引いていた高校時代のあの感覚!
非主流派男子に向けて話しかけてくれる女の子への印象とか!物語構造は「ほしのこえ」と似てるんだけど、こちらの方が一層切なくて、聞いてる。当時のオレらが憧れたオブジェクトの数々がちりばめられて本当にすばらしい映画だった。
70年代生まれの非主流派男子は全員必ず見るべき。
ここでいう非主流派男子ってのは、文化部系とかなんだろうから、自分も非主流派男子だと思うのだけど、『雲のむこう、約束の場所』を見ても、その部分は刺激されなかった。おそらく中学高校時代の恋愛に対してのスタンスの違いなんだろう。
ともあれ、新海誠は、非モテというか、魂の童貞の心を刺激するお話を作るのが上手いということで!
雲のむこう、約束の場所 感想リンク
http://www.oyasumi.org/beyond_cloud/beyond_cloud.htm
このページ作った人による渋谷のレポートが下の方にあるんだけど、感想がタイトルだけで書いていのに笑ってしまった。
帰ってきた買っとけ! DVD 第163回:この映像の中で暮らしたい!? 新海監督最新作「雲のむこう、約束の場所」
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050222/buyd163.htm
この「記憶色アニメ」ってのはいい表現だなあ。「記憶色」はカメラ用語だと思ったけど、デジカメでいえばキヤノンの絵作り。よくいえばくっきり、悪くいえば人工的。
編集やカット割りの問題点についての指摘。
http://d.hatena.ne.jp/molmot/20041124#p1
http://cgi15.plala.or.jp/%7Ekusunoki/news2/news.cgi?view=12/4_0%8E%9E44%95%AA17%95b_2004%94N
新海誠インタビュー
http://info.linkclub.or.jp/nl/2005_03/yuugou.html
http://www.ktv.co.jp/smile/contents/71/71/interview.html
インタビュー集『雲のむこう、約束の場所 新海誠2002-2004』
http://www.toranoana.jp/mailorder/comic/050308kumo/050308kumo.html
3/8にぴあから発売。